夏休みの旅行シーズン真っただ中、多くの人々が期待に胸を膨らませ、旅行の計画を立てています。近年、ホテルの予約方法として主流となっているのが、インターネットを通じたオンライン旅行サイトの利用です。手軽に比較検討でき、口コミも確認できる利便性から、多くの人が利用していますが、一方で「予約したはずのホテルが存在しない」「予約ができていなかった」といった予期せぬトラブルが多発し、旅行計画に水を差すケースが増えています。こうしたオンラインホテル予約における落とし穴と、トラブルを避けるための具体的な対策について掘り下げます。
旅行需要の高まりとオンライン予約の現状
お盆休みを控える時期、JTBの調査によると今年の国内旅行客数は約7220万人、海外旅行客は約244万人と、いずれも昨年をわずかに上回る見込みです。旅行の計画段階では、宿泊施設の予約が不可欠ですが、現代の旅行者はどのように予約を行っているのでしょうか。20代の旅行者は「ネットで。楽だから」、30代の旅行者は「口コミを見ますね。全部ネットで早く調べられる」と語るように、インターネットを介した予約が主流となっています。しかし、この手軽さの裏には、今頻発している「予約した宿が存在しない」といったトラブルが潜んでいます。
具体的な被害事例:予約したはずの宿が「存在しない」
オンラインでのホテル予約では、思わぬ落とし穴に遭遇することがあります。実際に発生した、二つの具体例を見てみましょう。
ケース1:予約サイト「アゴダ」でのトラブル(神奈川県厚木市)
先月、20代の被害者は旅行サイト「アゴダ」を利用し、神奈川県厚木市のホテルを2泊3万円で予約しました。しかし、実際にホテルに到着すると「予約は取れていない」と告げられ、チェックインができませんでした。被害者は「ホテル側も困っていた。(予約)取れていないのに何でチェックインしたいんだろうと。後ろにチェックインするお客さんも待っていて」と、当時の混乱を語っています。
オンライン旅行サイトで予約したホテルが実際には存在しないケースのイメージ
幸いにも、事前に振り込んだ3万円は後日アゴダから返金されました。しかし、急遽同じホテルに当日料金の4万円を支払って宿泊することになり、予定よりも旅行代金が高くついてしまいました。このようなトラブルは、アゴダに限らず他の旅行サイトでも報告されています。
ケース2:ユーチューバー「TEAM CICADA」のベトナムでの体験
ユーチューバーのTEAM CICADAさんは今年6月、ベトナム最大の都市ホーチミンへの2泊3日の旅行で、大手旅行サイトを通じて1泊約3000円のホテルを予約しました。しかし、アプリに表示された住所にホテルはなく、現地の人に尋ねても見つかりませんでした。TEAM CICADAさんは「僕が住所間違えているのかなと。半信半疑ですよ。本当にそんなことあるのかなって。前日まで(宿とチャットが)できた」と、信じられない思いだったことを明かしています。
旅行サイトでのホテル予約トラブルを訴える人々の困惑した表情
旅行サイトのカスタマーセンターに問い合わせたところ、驚くべきことに「ホテルは潰れていた」との回答がありました。その日のうちに代替の宿を紹介してもらえましたが、「(探すのに)すごい苦労して、数時間潰れちゃった。結構イライラしていましたよ。暑いし(ホテルまで)夜歩くのが不安だった」と、金銭的な被害はなかったものの、旅行スケジュールが大幅に乱れ、精神的に疲弊したと語っています。TEAM CICADAさんは「安く取れるしすぐ取れるし、便利なんですけど気を付けないとなって」と警鐘を鳴らしました。
オンライン予約トラブルから身を守るための対策
このようなオンライン予約トラブルに巻き込まれないためには、事前の確認と慎重な行動が不可欠です。以下の対策を参考に、安全な旅行を楽しみましょう。
- 宿泊施設の事前確認を徹底する:
- 予約前に、ホテルの公式サイトや電話番号を検索し、実際に存在するか、連絡が取れるかを確認しましょう。
- 住所をGoogle マップなどで検索し、実在する建物か、周辺環境に不審な点がないかをチェックします。
- 口コミやレビューを多角的にチェックする:
- 予約サイトだけでなく、GoogleレビューやSNSなど、複数の情報源から口コミを確認しましょう。極端に評価が高い、または低いレビューばかりの施設には注意が必要です。
- 決済方法を慎重に選ぶ:
- 可能であれば、現地払いや後払いオプションを選択し、トラブル発生時の金銭的リスクを軽減しましょう。
- クレジットカード情報入力には、そのサイトが信頼できるか、SSL通信が使用されているかを確認してください。
- 予約確認の徹底と証拠の保持:
- 予約完了メールや予約番号は必ず保存し、スクリーンショットを撮るなど、複数の方法で控えを残しましょう。
- 旅行出発前には、ホテルに直接電話をかけ、自分の名前と予約番号で予約がきちんと入っているかを確認することをお勧めします。
- 不審な点があればすぐに問い合わせる:
- 予約サイトからの連絡が不自然だったり、ホテルの情報が曖昧だったりする場合、すぐに旅行サイトのカスタマーサポートに問い合わせましょう。
結論
オンライン旅行サイトは、私たちの旅行をより手軽で豊かなものにしてくれる便利なツールです。しかし、その利便性の裏側には、「予約した宿が存在しない」といった予期せぬトラブルのリスクが潜んでいることも事実です。ご紹介した被害事例からもわかるように、こうしたトラブルは金銭的な損失だけでなく、貴重な旅行時間を奪い、精神的な疲労をもたらします。
安全で楽しい旅を実現するためには、予約サイトの提供する情報だけでなく、自ら積極的に情報を収集し、多角的な視点から宿泊施設を評価する慎重さが求められます。特に、あまりにも好条件すぎるプランや、見慣れないサイトでの予約には細心の注意を払い、今回提示した対策を講じることで、安心して旅行計画を進められるでしょう。