【ソウル=桜井紀雄、ワシントン=黒瀬悦成】アジア歴訪で韓国に向かったエスパー米国防長官は、立ち寄り先の米西部ワシントン州の基地で13日、記者団に対し、北朝鮮の非核化に向けた外交交渉を促進させるため、米韓合同軍事演習の実施規模を「調整」する用意があると表明した。
「直ちに調整を実施するわけではない」とし、規模縮小を明言しなかったが、米韓が来月に予定する空軍演習に、北朝鮮が強く反発していることに一定の配慮を示した可能性がある。
北朝鮮国務委員会の報道官は13日、「米国は遠からず大きな脅威に直面するだろう」などと演習方針に談話で警告した。だが、14日には一転、金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が、エスパー氏の「調整」発言について談話で「トランプ大統領の意中を反映したものと信じたい」と指摘。「対話の動力を生かそうとする米側の肯定的な努力の一環」だと評価した。
エスパー氏は、韓国が破棄を決めた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「維持されるべきだ」とし、「北朝鮮の行動に関する情報をタイムリーに共有するのに不可欠だ」と強調した。ソウルで15日に韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと米韓定例安保協議(SCM)を開催予定で、協定の失効が23日午前0時に迫る中、韓国側に協定維持を働きかける見通しだ。
ソウルでは14日、先に訪韓した米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長らが出席し、44回目となる米韓軍事委員会が開かれた。