■女優が自分の居場所に
ドラマやCMではおなじみの女優、松本穂香(ほのか)(22)の主演作の公開が相次いでいる。9月に初主演の「おいしい家族」(ふくだももこ監督)。続いて「わたしは光をにぎっている」(中川龍太郎監督)が15日から始まる。来年も主演作が待機しており、銀幕での活躍に注目だ。(石井健)
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「わたしは光をにぎっている」では、長野から東京に出てきた無口で不器用な20歳の宮川澪を演じる。映画は、澪の「居場所」探しを描く。
「大きなことが起こるお話ではありませんが、静かで優しい作品です」
口調は穏やかだ。主役の澪そのもの。実際、「澪は私」という。
「澪の、しゃべらなくても分かってくれるだろうという甘え、信念が表出できないところなど、私にはよく分かる」
澪は、父の友人が営む銭湯で働く。だが、銭湯は区画整理で廃業に。
中川監督は、都会に出てきた少女、キキが魔法を生かして独り立ちしようとする物語になぞらえて、この作品を「飛べない時代の『魔女の宅急便』」と表現する。なるほど、ラストシーンの澪はどことなくキキに…。さて、澪の居場所は-。
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主演作が相次ぐのは、「ありがたい」とほほえむ。
「主演じゃないと経験できないことはたくさんあります。例えば、さまざまな方とお芝居ができます」
高校の演劇部で芝居に目覚めた。目立つ生徒ではなく、女優を目指していたわけでもなかったが、よい舞台を作りたい一心で、懸命に芝居に取り組んだ結果が、今につながった。
「大切なことは、どこにいようと、自分の力で、そこを自分の居場所に変えることではないでしょうか」
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「わたしは光をにぎっている」は、15日から東京・新宿武蔵野館、22日から大阪・シネ・リーブル梅田などで順次公開。
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【プロフィル】松本穂香
まつもと・ほのか 平成9年2月生まれ。大阪府出身。ドラマ「ひよっこ」(29年、NHK)で注目される。ドラマ「この世界の片隅に」(30年、TBS系)で初主演。映画は「風に立つライオン」(27年、三池崇史監督)など多数出演し、今年「おいしい家族」で初主演。来年も、「酔うと化け物になる父がつらい」(片桐健滋監督)、「みをつくし料理帖」(角川春樹監督)など主演作が待機している。