新型コロナワクチン接種後の健康被害認定、9000件超え 死亡事例も1000件近くに

新型コロナウイルスワクチンの接種開始から4年。予防接種健康被害救済制度に基づき、接種後の健康被害認定が9000件を超え、そのうち死亡事例も1000件近くに達していることが明らかになりました。 この救済制度は、迅速な救済を目的としており、厳密な因果関係の立証を必要としない点が特徴です。

ワクチン接種後の健康被害、救済制度の現状

厚生労働省への取材によると、2021年8月から今年3月までに、新型コロナワクチン接種後の健康被害として認定された事例は9031件、うち死亡事例は998件に上ります。高齢者を優先とした一般住民へのワクチン接種が始まった2021年4月以降、申請数は増加傾向にあり、3月24日時点で1万3000件を超える申請が受理されています。

厚労省で開かれた疾病・障害認定審査会の会合厚労省で開かれた疾病・障害認定審査会の会合

認定された健康被害は、アナフィラキシーなどのアレルギー反応のほか、心筋梗塞や脳出血など多岐にわたります。救済制度では、医療費や死亡一時金の給付が行われますが、申請者からは書類準備の負担や審査期間の長さに対する声が上がっています。

因果関係の判断と課題

一方で、副反応を医学的に分析する有識者会議では、昨年8月までに報告された2000件以上の死亡事例のうち、「ワクチンとの因果関係が否定できない」と評価されたのはわずか2例にとどまっています。 救済制度と有識者会議の評価の違いは、救済制度が迅速な救済を目的とし、厳密な因果関係を必要としない一方、有識者会議は科学的根拠に基づいた因果関係の評価を行っている点にあります。

医療ジャーナリストの山田健一氏(仮名)は、「救済制度は迅速な支援を提供する上で重要な役割を果たしている一方、因果関係の判断基準の明確化や審査期間の短縮など、更なる制度改善が必要と言えるでしょう」と指摘しています。

今後の展望

ワクチン接種後の健康被害に関する議論は今後も続いていくと考えられます。より透明性の高い情報公開と、迅速かつ公正な救済制度の運用が求められています。 国民一人ひとりが正しい情報に基づいて判断し、安心してワクチン接種を受けられる環境づくりが重要です。