【相続トラブル実例】母の遺産4000万円が1000万円に… 消失の謎と対策を相続のプロが徹底解説!

高齢化社会の日本では、相続に関するトラブルが増加傾向にあります。今回は、実際に起きた相続トラブルの実例を通して、その原因と対策を専門家の視点から解説します。大切な家族との円満な相続を実現するために、ぜひ本記事を参考にしてください。

4000万円あった母の遺産が… 突然の減少

50代のむつみさんは、数年前に母親を亡くしました。父親はすでに他界しており、相続人は兄とむつみさんの二人。母親は高齢者施設に入居しており、兄が保証人となり、預金の管理も行っていました。母親の自宅マンションを売却した際の2000万円と、父親の遺産を合わせた預金は4000万円以上あったはずです。しかし、母親の死後、兄から提示された遺産総額はわずか1000万円。「私が600万円、あなたは400万円」という兄の言葉に、むつみさんは強い不信感を抱きました。一体何が起こったのでしょうか?

高齢者施設のイメージ高齢者施設のイメージ

3000万円の行方… 銀行明細書が語る真実

相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)に相談したむつみさんは、預金の入出金明細を入手することを勧められました。明細書を確認すると、母親が高齢者施設に入居してから3年間で、約3000万円が50万円ずつ引き出されていたことが判明。母親が一人で銀行に行くことは不可能であり、まとまった金額の出金でもないことから、兄が引き出した可能性が高いとむつみさんは考えました。

しかし、兄は「知らない」の一点張り。真相は闇の中へと消えてしまい、調停を経ても解決には至りませんでした。

銀行のATMイメージ銀行のATMイメージ

専門家が語る、相続トラブルを防ぐための3つのポイント

このような悲しい相続トラブルを防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか?曽根惠子氏は、以下の3点を挙げています。

1. 定期的な財産状況の確認

預金残高や不動産の価値など、財産状況を定期的に確認し、家族間で共有することが大切です。特に高齢の親を持つ場合は、本人の意思確認が難しくなる前に、財産の管理方法について話し合っておきましょう。

2. 複数人で財産管理を行う

預金の管理は、一人ではなく複数人で行うようにしましょう。例えば、兄弟姉妹で共同で管理したり、信頼できる第三者に依頼するのも一つの方法です。

3. 遺言書の作成

遺言書を作成することで、遺産分割の方法を明確にし、相続人同士の争いを未然に防ぐことができます。専門家のアドバイスを受けながら、適切な内容の遺言書を作成しましょう。

相続は「争族」にならないために… 早めの準備とコミュニケーションが鍵

相続は、大切な家族との関係を壊してしまう可能性のあるデリケートな問題です。今回ご紹介したむつみさんのケースのように、お金の問題が原因で家族の絆が失われてしまうことは、何としても避けたいものです。

「相続」が「争族」にならないよう、早めの準備と家族間のコミュニケーションを大切にしましょう。本記事が、皆様の円満な相続の一助となれば幸いです。