ガザ地区で3月下旬、ハマスに対する抗議デモが発生しました。これは、長期化するイスラエルとの紛争とハマスの強権的な統治に対する不満の表れとして、国際社会の注目を集めています。本記事では、ガザ住民の現状と停戦への願いについて詳しく解説します。
ハマスへの不満噴出:ガザ住民の苦悩
2023年10月に始まったイスラエルとハマスの戦闘は、ガザ地区の住民に甚大な被害をもたらしています。食料価格の高騰、住居の喪失、そして何より、愛する家族を失った悲しみは、人々の生活を圧迫し、将来への希望を奪っています。ガザ市在住の弁護士、モーメン・ナトール氏(29)は、イスラエルのNPOを通じてオンライン記者会見を行い、「住民の多くはハマスを支持していない。ハマスが去れば、この戦争は終わる」と訴えました。ナトール氏自身、2019年にガザ当局への抗議デモを組織し、投獄された経験を持つ活動家です。
ガザ地区南部ハンユニスで配置されたハマスの戦闘員
3月下旬に発生した抗議デモは、イスラエル軍の大規模攻撃の再開を受けて、自然発生的に始まったとされています。ナトール氏は、「18年にわたるハマスの統治と1年以上に及ぶ戦闘で、住民は大きな代償を払わされている。生きる希望がないから、人々が抗議に立ち上がった」と、デモの背景を説明しました。
デモ鎮圧と続く恐怖政治
数日間続いたデモは、参加者の一人がハマス戦闘員に殺害される事件を受けて沈静化しました。ナトール氏は、「ハマスは以前のような軍事力は失ったが、住民を抑えつけるだけの武器や力はまだ持っている」と、ハマスの恐怖政治の実態を指摘しています。
停戦と人質解放への切実な願い
戦闘のきっかけとなったハマスの越境攻撃については、ナトール氏は「女性や子どもを標的にした攻撃には全く賛同できない」と非難し、「ハマスは今すぐ人質を解放し、戦争を終わらせるべきだ」と強く訴えました。
国際社会への訴え
ガザ側の死者は5万人を超え、人道危機は深刻化しています。ナトール氏は、「すべてのガザ住民がハマスを支持しているわけではない。ハマスと無関係な一般市民を攻撃しないよう、国際社会はイスラエルに働きかけるべきだ」と訴えています。パレスチナ政策調査研究センターの調査によると、ガザ住民の6割がハマスの統治を望んでいないという結果も出ており、住民感情の変化が顕著になっています。
ガザの未来への希望
長引く戦闘の中で、ガザ住民は出口の見えない状況に苦しんでいます。停戦の実現と人質の解放は、彼らにとっての一縷の希望であり、国際社会の積極的な関与が不可欠です。