日本の洗練された文化や安全な環境に惹かれ、近年、中国の富裕層の間で日本移住がブームとなっています。しかし、華やかなイメージの裏には、彼らが直面する意外な「不便さ」が存在するようです。今回は、実際に日本に移住した中国人富裕層ファミリーへのインタビューを通して、その実態に迫ります。
なぜ日本へ?移住の背景と高まる期待
中国の不動産デベロッパーで長年活躍してきた賀振良氏(仮名)夫妻は、2023年8月に日本へ移住しました。以前から47都道府県のうち46都道府県を旅行で訪れた経験があり、「旅行先としては最高の国」と日本を高く評価していました。特に「養老」の地として日本を選んだ夫妻は、新たな生活への期待に胸を膨らませていました。
賀氏夫妻が訪れた日本の風景
理想と現実のギャップ:100軒の物件探しで見えた日本の住宅事情
香港の50平米マンションから、東京では倍の広さの住居を見つけることを期待していた賀氏夫妻。娘のインターナショナルスクールへの通学を考慮し、中央区、江東区、墨田区を中心に100軒もの物件を内覧しました。しかし、彼らの希望に合う物件は見つからず、次第に日本社会への疑問が募っていきました。
プライバシーへの意識の違い:浴室とトイレの数
夫妻が最も重視していたのは、浴室とトイレの数でした。娘のプライバシーを確保するために、浴室2つ、できればトイレも2つある物件を探していました。親戚が泊まりに来た際にも、浴室が1つだと不便を感じたと言います。日本の住宅事情に詳しい建築家、佐藤一郎氏(仮名)は、「日本の住宅は家族間の距離感が近く、プライバシーへの意識が中国とは異なる傾向がある」と指摘しています。
車社会とのギャップ:駐車場と狭い路地
大型自家用車を所有している賀氏夫妻にとって、駐車場の有無も重要なポイントでした。また、奥様は日本の狭い路地に戸惑いを覚えたそうです。中国の大都市と比較すると、日本の道路事情は異なる点が多く、慣れるまで時間を要するかもしれません。
日本経済への提言:停滞の真因と対外開放の重要性
賀氏は、日本の経済停滞の真因は「社会の対外開放度の低さ」にあると主張します。少子高齢化やデフレといった要因だけでなく、国際的な競争力強化の必要性を訴えています。経済評論家の田中美智子氏(仮名)は、「賀氏の指摘は、日本経済が抱える課題を改めて浮き彫りにしている」と述べています。
移住生活の光と影:新たな発見と向き合う挑戦
日本での生活は、賀氏夫妻にとって新たな発見と挑戦の連続です。文化の違いや生活習慣のギャップに戸惑いながらも、日本の魅力を再発見する喜びも感じているようです。彼らの経験は、日本社会の多様化と国際化を考える上で貴重な示唆を与えてくれます。