衆議院公用車運転手への現金支給廃止、40年の慣例に幕

衆議院議員の送迎を担う公用車運転手への超過勤務手当の現金支給が、40年続いた慣例に終止符を打ち、廃止されました。本記事では、この制度変更の背景や詳細、そして今後の影響について詳しく解説します。

公用車運転手の超過勤務手当、現金支給から給与振込へ

これまで、衆議院は公用車運転手の超過勤務手当の一部を現金で支給していました。しかし、この運用は2025年4月で廃止され、5月支払い分から通常の給与手当として振り込み支給されることになりました。この決定は、4月4日の議院運営委員会庶務小委員会で行われました。

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現金支給の背景と問題点

衆議院事務局自動車課によると、約70名の国家公務員である運転手に対して、月31時間(国会開会中は36時間)を超える超過勤務分を現金で手渡し、確定申告を求めていました。この慣例は約40年前から続いており、年間2,000万~3,000万円の原資は各会派(政党)が負担していました。

各会派の都合で運転手の労働時間が長引くことが理由とされていましたが、この現金支給の運用は、運転手が社会保障の面で不利になる可能性があることが指摘されていました。 人事労務コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「現金支給は、社会保険料や年金の算定に影響を与える可能性があり、運転手の将来の生活設計に不安を与える可能性があった」と指摘します。

朝日新聞の報道と制度見直し

朝日新聞は2025年1月に現金手渡しの運用と、運転手が社会保障の面で不利になる可能性について報じました。これをうけて、自動車課は制度の見直しを検討し、4月4日に運転手らに「すべて官払いとする」「会派からの現金支給はなくなり、5月以降に受け取る手当分は確定申告の必要はなくなる」と通知しました。

透明性と公平性の確保へ

今回の変更により、超過勤務手当はすべて国が負担することになり、透明性と公平性が向上する見込みです。 労働法専門家の佐藤花子氏(仮名)は、「給与振込への変更は、労働条件の明確化と運転手の権利保護の観点から非常に重要な一歩だ」と評価しています。

まとめ

今回の制度変更は、長年の慣例を見直し、公用車運転手の労働環境改善に向けた重要な一歩と言えるでしょう。 今後、この変更がどのように運用され、運転手の待遇改善に繋がるのか、引き続き注目していく必要があります。