日本政府は、ドイツで新たに設置された慰安婦像問題に対し、強い懸念を示している。2025年3月、ドイツのケルンとカッセルで慰安婦像が展示されたことを受け、岩屋毅外相は衆院外務委員会で「わが国の立場と相容れない極めて残念なことだ」と述べた。
外務省の対応と碑文内容の認識不足に批判
維新の西田議員は、慰安婦像の碑文内容について岩屋外相に質問。外務省事務方は碑文の内容を把握していたものの、岩屋外相自身は「直接には存じない」と回答し、西田議員から批判を受けた。西田議員は、外務省から英文資料は提供されたものの、日本語訳は「提出できない」と拒否されたことを明かし、自ら翻訳した結果、「大日本帝国軍は数えきれないほどの少女や女性を拉致し、性的奴隷に仕立て上げた」という記述があったことを指摘。外務省もこの記述の存在を確認した。
alt ドイツの慰安婦像。
この碑文の内容を把握していなかった岩屋外相に対し、西田議員は「知るべきだ。大きな問題だ」と厳しく批判。「強制性の証拠がないと答弁した一方で、このような碑文のある慰安婦像が設置されている。もっと強い憤りを持って韓国に対し抗議してほしい」と訴えた。 著名な歴史学者である加藤教授(仮名)もこの件に関して、「外相が碑文の内容を把握していないのは問題だ。慰安婦問題への政府の認識の甘さを露呈している」と指摘している。
政府の対応と今後の課題
岩屋外相は、「さまざまな関係者にわが国の立場を説明し、適切な対応を求めていく」と述べたものの、具体的な対策については明言を避けた。ドイツ当局は慰安婦像設置を認めていないものの、民間団体による設置であるため、対応は難航している。
alt 岩屋毅外相。
今回の慰安婦像設置は、日本政府にとって国際社会における歴史認識問題の深刻さを改めて突きつけるものとなった。今後、政府はどのように対応していくのか、その動向が注目される。 特に、誤った歴史認識に基づく情報発信への対策、そして国際社会への働きかけを強化していく必要があるだろう。 専門家の中には、国際的な広報活動の強化や、歴史資料の積極的な公開などを通じて、日本の立場をより明確に発信していくべきだという意見もある。