【台風19号】「災害弱者」の命をどう守る 施設外避難に課題




 台風19号に伴う河川の氾濫は「災害弱者」である入院患者を抱える医療機関や高齢者、障害者が暮らす福祉施設も直撃し、14都県で少なくとも385カ所の施設が浸水などの被害に見舞われた。患者や入所者を上階に移すなどして人的被害を免れた一方、避難計画作成の遅れが判明し、施設外避難の在り方についても課題を残した。災害弱者の命を守る現実的な方策が求められている。

■計画作成済み35%

 阿武隈(あぶくま)川の氾濫で、市街地が水没した宮城県丸森町。国民健康保険丸森病院も10月13日未明、1階部分が水につかった。入院患者56人らは病床のある2、3階にいて無事だったものの、医療機器の故障や断水の影響もあり転院を余儀なくされた。今月5日に1階診察室が使えるようになったが、暖房用ボイラーの故障などで、入院患者受け入れ再開のめどは立たない。

 医療機関や高齢者・障害者向け施設をめぐっては、平成28年8月の台風で岩手県岩泉町の高齢者施設が濁流にのまれ、入所者9人が死亡したことを受け、河川の氾濫で浸水が想定される場合、避難先や移送手段などを定めた計画作成と訓練実施が義務づけられた。ただ、罰則規定はない。

 国土交通省によると、対象となる全国6万7901カ所のうち、計画作成済みは今年3月末時点で35・7%の2万4234カ所。今回の台風で災害救助法が適用された14都県に限っても45・6%にとどまる。

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