インターネット通話サービスの草分け的存在、Skypeが5月5日にサービスを終了します。2000年代から10年代にかけて世界中で愛用され、一時は同時接続ユーザー数7000万人を超えるほどの人気を誇ったSkype。その栄光の歴史と、衰退の理由を紐解いていきます。
Skype:無料通話の革命児
2003年に誕生したSkypeは、インターネット回線を利用した無料通話という画期的なサービスで、瞬く間に世界中に広まりました。2005年にはeBayに買収され、ビデオ通話機能も追加。さらに2011年にはMicrosoftの傘下に入り、85億ドルという巨額で買収されたことからも、当時のSkypeの勢いが伺えます。
Skypeのビデオ通話の様子
ITジャーナリストであり成蹊大学客員教授の高橋暁子氏は、「Skypeはまさにコミュニケーションの革命でした。海外との通話が手軽になり、顔を見ながら無料で話せるという利便性が、多くの人々を魅了したのです」と語っています。
私自身も、中央アジアのウズベキスタンに滞在していた2010年から2012年にかけて、Skypeを愛用していました。当時はスマートフォンもなく、インターネット環境も不安定でしたが、数週間に一度、ネットカフェで家族や友人とSkypeでビデオ通話をするのが何よりの楽しみでした。他のビデオ通話サービスもありましたが、当時私の周りの人々にとって、連絡手段はSkype一択でした。
スマートフォン時代の波に乗り遅れたSkype
しかし、圧倒的なシェアを誇っていたSkypeは、時代の変化に対応しきれず、衰退の一途を辿ることになります。そのターニングポイントは、大きく分けて2つあります。
スマホ対応の遅れ
1つ目は、スマートフォンへの対応の遅れです。2010年には4%だった日本のスマートフォン普及率は、2015年には50%を超えました。同時にLINEなどのスマホネイティブアプリが台頭し、世界的にはWhatsAppやWeChatなどが人気を集めていきました。Skypeもモバイル版を提供していましたが、後発のアプリに比べて使い勝手が悪く、ユーザーの流出を食い止めることはできませんでした。
競合サービスの台頭
2つ目は、Zoomなどの高機能なビデオ会議サービスの登場です。特にコロナ禍において、Zoomはビジネスシーンを中心に急速に普及しました。多人数での会議や画面共有、高画質・高音質など、Skypeにはない機能が充実していたZoomは、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となりました。
Skypeの終焉、そして未来へ
長年にわたり、世界中の人々のコミュニケーションを支えてきたSkype。そのサービス終了は、一つの時代の終わりを象徴する出来事と言えるでしょう。しかし、Skypeが築き上げた「インターネットで世界中と繋がる」という基盤は、今もなお様々なサービスに受け継がれています。
料理研究家の山田太郎氏(仮名)は、「Skypeは、グローバルな料理交流を促進する上で大きな役割を果たしました。ビデオ通話を通じて、世界中の料理人や料理愛好家と繋がり、レシピや技術を共有することができたのです。」とSkypeの功績を高く評価しています。
今後、コミュニケーションツールはさらに進化していくことでしょう。Skypeの終焉は、新たな時代の幕開けを予感させます。