未来の車はエンジンで走る?脱炭素時代のエンジン技術革新に迫る

地球温暖化対策として、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが世界中で加速しています。電気自動車(EV)への移行が注目される中、エンジン技術にも新たな進化が見られます。本記事では、カーボンニュートラル燃料や次世代エンジン技術の可能性、そしてトヨタのマルチパスウェイ戦略について解説します。

エンジンが見直される背景:石油枯渇と価格高騰

エネルギーアナリスト 大場紀章さんの写真エネルギーアナリスト 大場紀章さんの写真

エネルギーアナリストの大場紀章氏によると、近年の石油採掘コストの上昇は深刻な問題です。新たな油田発見の減少、既存油田の採掘難易度の上昇により、ガソリン価格の高騰は避けられないと指摘しています。

テレビ愛知「クルマとミライ増刊号」の放送画面テレビ愛知「クルマとミライ増刊号」の放送画面

大場氏は、「40年前と比較して石油採掘コストは3~4倍に膨れ上がっている」と語り、今後10~20年でさらに高騰する可能性を示唆しています。

大場氏が石油採掘コストについて解説している様子大場氏が石油採掘コストについて解説している様子

EVへの移行は石油消費量削減の有効な手段となります。さらに、再生可能エネルギー由来の電力活用促進にも繋がると期待されています。

石油採掘コストのグラフ石油採掘コストのグラフ

トヨタのマルチパスウェイ:未来のモビリティ戦略

自動車経済評論家 池田直渡さんの写真自動車経済評論家 池田直渡さんの写真

自動車経済評論家の池田直渡氏は、石油価格高騰への懸念を示しつつ、トヨタのマルチパスウェイ戦略に注目しています。マルチパスウェイとは、EVだけでなく、ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)、カーボンニュートラル燃料を活用したエンジン車など、様々な選択肢を追求する戦略です。

東京オートサロン2025の様子東京オートサロン2025の様子

池田氏は、東京オートサロン2025でトヨタが発表した次世代ハイブリッドエンジンに注目。最大出力600馬力という高性能エンジンは、トラックからスポーツカーまで幅広い車種への搭載が期待されています。

カーボンニュートラル燃料:エンジンの可能性を広げる

カーボンニュートラル燃料とは、製造過程で排出されるCO2と、燃料使用時に排出されるCO2が相殺される燃料のことです。バイオ燃料や水素などが代表例として挙げられます。これらの燃料を活用することで、既存のエンジン技術を活かしつつ、CO2排出量を削減することが可能となります。自動車業界では、カーボンニュートラル燃料の研究開発が積極的に進められており、将来のモビリティ社会における重要な役割を担うと期待されています。

未来の車の可能性

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みは、EV化だけでなく、エンジン技術の進化、カーボンニュートラル燃料の開発など、多岐にわたります。トヨタのマルチパスウェイ戦略のように、様々な選択肢を追求することで、より持続可能なモビリティ社会の実現に近づくことができるでしょう。今後の技術革新に注目が集まります。