日本の食卓を支えるコメ。しかし、その生産現場は危機に瀕しています。記録的な価格高騰を受け、全国で「令和の百姓一揆」が行われました。コメ農家の切実な訴え、そして未来への希望とは?
菅野芳秀氏:持続可能な農業への道
山形県長井市のコメ農家、菅野芳秀氏(75歳)は「令和の百姓一揆」実行委員会の代表です。東京で行われたデモ行進では、トラクター約30台を先頭に、4500人もの人々が「農業守ろう」「国産守ろう」と声を上げました。若者からの声援もあり、農業への関心の高まりを感じさせる出来事でした。
alt="トラクターデモの様子。多くの参加者が農業を守るために声を上げている。"
菅野氏は、農業を守ることは農家だけでなく、市民の命と食料を守ることに繋がる、と訴えます。日本の農業を再興し、新たな流れを作るためには、農家と消費者の連携が不可欠です。
農家の減少:深刻化する農業の現状
菅野氏が就農した1976年当時、彼の集落ではほとんどの家が稲作農家でした。しかし現在は7軒にまで減少、40代は菅野氏の息子さんただ一人。高齢化も進み、耕作放棄地も増加しています。
その背景には、長年にわたる減反政策があります。生産意欲と技術が削り取られ、「時給換算10円」とも言われるコメ作りだけでは生活が成り立ちません。このままでは農家は絶滅してしまう、と菅野氏は危機感を募らせます。
地域連携の重要性:食料生産と消費の新たな仕組み
菅野氏は、農家と消費者が地域で食料生産と消費の仕組みを作っていくことを提案します。学校給食や病院食への供給など、地域に密着した農業のあり方が重要です。多様な担い手が参加し、安定した地域農業と社会の関係を築くことが、日本の農業の未来を切り開く鍵となります。
異常気象への対応:農家を襲う新たな脅威
近年、異常気象による影響も深刻化しています。真夏の猛暑は稲に大きなダメージを与え、収穫量減少に繋がります。食料安全保障の観点からも、気候変動への対策は急務です。
alt="デモ行進の様子。多くのプラカードが掲げられ、農業の窮状を訴えている。"
国の支援:持続可能な農業を実現するために
市場価格の変動に左右される現状では、持続的な農業経営は困難です。菅野氏は、農家への所得保証と消費者への生活支援を求めています。国民の食生活を守るための政策こそ、国の重要な役割です。
未来への希望:全国行脚で農業の重要性を訴える
菅野氏は今後、全国を回り、農業の重要性や地域作りの必要性を訴えていく予定です。劇作家、井上ひさし氏から受けた「農の大切さを訴えて全国を回ったらどうだろう」という言葉が、今、現実のものになろうとしています。
食の未来を守るために
「令和の百姓一揆」は、日本の食の未来を守るための大きな一歩です。コメ農家の声に耳を傾け、持続可能な農業を実現するために、私たち一人ひとりができることを考えてみませんか。