「老老介護殺人」に下された“執行猶予”つき判決…人気ドラマ「虎に翼」も取り上げた「親殺し」は“死刑または無期懲役”の厳罰 司法を大きく左右する“時代の変化”


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「殺人事件の裁判で執行猶予付きの判決が下ったことは異例と言わざるを得ません。判決は小峰被告が12年間、たった一人で母親の介護を行っており、肉体も精神も疲弊していたことを重視しました。事件直前には頻繁にトイレの介助を求められ、心理的に追い詰められていたことも考慮。『犯行は悪質』と糾弾しながらも『介護疲れによる事案とみるべき』と指摘し、執行猶予が付くという温情判決を下したのです」

 一方、検察側は「介護疲れの事案とは一線を画する」として、懲役8年を求刑していた。元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は、この「懲役8年」という求刑に注目する。

「殺人罪の最低刑は『懲役(拘禁刑)5年以上』ですので、執行猶予の条件である『懲役3年以下』を満たしません。今回の判決では、情状酌量すべきものがあるとして『酌量減軽』を行い、懲役5年を懲役3年に減刑して執行猶予の条件を満たしました。拘禁刑の場合、酌量減軽で半分の刑期にすることが可能です。つまり懲役5年なら懲役2年半まで減刑することができるのですが、ここで注目したいのは検察側が懲役8年を求刑した点です。8年だと仮に半分の酌量減軽が認められても懲役4年で執行猶予の条件を満たせません。つまり検察側は『執行猶予を付けられる殺人事件ではありませんよ』というメッセージを裁判所に送った可能性があると思います」(同・若狭氏)



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