米中貿易摩擦:トランプ氏「交渉のボールは中国側にある」

米中貿易摩擦をめぐり、ドナルド・トランプ前大統領は中国側が交渉を望んでいるのであって、米国側は必ずしも交渉する必要はないとの姿勢を示した。ホワイトハウス報道官の発言やAI生成動画への反応など、トランプ政権当時の米中関係の緊張が改めて浮き彫りになった。

トランプ氏の強硬姿勢

2020年8月15日、トランプ前大統領は中国との貿易交渉について「ボールは中国のコートにある」と発言。中国が米国と交渉する必要性を強調し、米国側は必ずしも交渉を求めていないという強硬な姿勢を示した。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官によると、トランプ氏は中国が米国の消費者と市場を求めていると指摘。「中国は我々のお金が必要だ」と主張した。

alt ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官alt ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官

この発言は、当時の米中貿易摩擦の激化を背景に、トランプ政権が中国に対して優位な立場を確保しようとする戦略の一環とみられる。経済評論家の山田太郎氏(仮名)は、「トランプ氏は常に強気の姿勢で交渉に臨むことで、中国に圧力をかけようとしていた」と分析している。

TikTok取引と対中関税

レビット報道官は記者会見で、中国系動画プラットフォームTikTokの取引をめぐり、対中関税の減額の可能性について質問を受けた。これに対し、レビット報道官はトランプ氏の声明を読み上げ、「米国は中国との取引にオープンだが、中国が米国との交渉を必要としている」と回答。中国以外の国々との貿易交渉についても言及し、約70カ国が米国と接触しており、15件以上の提案を積極的に検討していると明らかにした。

自動車関税の可能性

トランプ前大統領が前日に言及した自動車関連の追加関税措置については、レビット報道官は詳細を明らかにしなかったものの、「トランプ大統領は交渉において柔軟性を持っている」と強調した。

AI生成動画への反応

当時、インターネット上でトランプ氏とマイク・ペンス副大統領が工場で働く様子を描いたAI生成動画が話題となっていた。これについてレビット報道官は、「動画は米国の労働力の潜在力を表現できていない」と批判。「トランプ大統領は米国が世界最高の労働力を持っていると確信している」と述べた。

alt トランプ大統領を模した便器ブラシalt トランプ大統領を模した便器ブラシ

トランプ政権下での米中関係は、貿易摩擦だけでなく、技術覇権や安全保障問題など、様々な分野で緊張が高まっていた。このAI生成動画への反応も、当時の政権の世論操作への敏感さを示す一例と言えるだろう。

この一件は、米中関係の複雑さと、トランプ政権の対中政策の強硬さを改めて示すものとなった。今後の米中関係の行方については、引き続き注視していく必要がある。