ナポリ近郊でロープウェイ転落事故、4人死亡の悲劇

イタリア南部ナポリ近郊のモンテ・ファイトで、痛ましいロープウェイ転落事故が発生し、4人が死亡、1人が重傷を負いました。美しい景色を一望できるはずの空中散歩が、一瞬にして悲劇に変わってしまったのです。この記事では、事故の経緯、救助活動の様子、そして関係者からの声などを詳しくお伝えします。

事故発生の瞬間

2025年4月17日、モンテ・ファイトのロープウェイで山頂付近を走行中のゴンドラが、支えとなるケーブルの切断により、地面に落下しました。事故当時、もう一台のゴンドラも運行中でしたが、幸いなことに谷底付近に位置していたため、乗客16人は無事に救助されました。

ロープウェーのゴンドラから救助される人々の様子ロープウェーのゴンドラから救助される人々の様子

事故発生当時、霧や風、雨などの悪天候に見舞われており、救助活動は困難を極めました。50人以上の消防隊員が現場に駆けつけ、懸命の救助活動が行われました。カンパニア州のヴィンチェンツォ・デ・ルカ州知事によると、犠牲者は全員観光客だったとのことです。

事故原因の究明

事故原因の究明のため、検察による捜査が開始されました。カステッラマーレ・ディ・スタビア市の市長は、ロープウェーを引くケーブルの切断が原因とみており、下流の緊急ブレーキは作動したものの、山頂に到着直前だったゴンドラのブレーキは作動しなかったと語っています。

ロープウェイを運営する公共交通機関EAVは、事故を起こしたロープウェイは季節運行であり、必要な安全条件をすべて満たして10日前に再開されたばかりだと説明しています。EAVのウンベルト・デ・グレゴリオCEOは、「想像もできない、予測不可能な悲劇だ」と述べ、深い悲しみを表明しました。

過去の事故との類似性

モンテ・ファイトのロープウェイは1952年から運行されており、1960年には同じ路線で同様の事故が発生し、4人が死亡しています。また、2021年にはイタリア北部ピエモンテ州でケーブルの切断と緊急ブレーキの故障によりロープウェイが落下し、14人が死亡する事故も発生しています。これらの過去の事故との関連性についても、徹底的な調査が必要とされています。

関係者からの声

事故を受けて、米ワシントンを訪問中だったジョルジャ・メローニ首相は、犠牲者の家族に心からのお悔やみを表明しました。イタリア国内では、ロープウェイの安全管理体制の見直しを求める声が上がっています。

安全対策の強化が急務

今回の事故は、観光客の安全を守るための対策が改めて重要であることを示しています。ロープウェイの定期点検や安全基準の厳格化など、再発防止に向けた取り組みが急務となっています。 観光立国イタリアにとって、観光客の安全確保は最優先事項であり、関係機関による迅速かつ適切な対応が求められています。