マンション開発余波…町工場が廃業危機に 兵庫・尼崎

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マンション開発余波…町工場が廃業危機に 兵庫・尼崎

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 戦後日本の経済発展を半世紀以上陰で支えてきた兵庫県尼崎市の町工場が、大規模マンション建設の余波で廃業の危機にひんしている。昨春届いた固定資産税の課税明細書で、一帯の土地区分が工業地区から住宅地区に変更され、税の評価額が従来の3倍に膨れ上がっていたのだ。産業構造の変化で一時は低迷した尼崎も近年はマンション開発で再び活気づいているが、町工場の男性経営者は「古くから続く工場の経営にも配慮してほしい」と行政側に訴え続けている。(中井芳野)

 男性は、JR塚口駅近くの線路沿いで「シンコー油脂」(同市上坂部)を営む大谷雅史さん(61)。2階建ての工場で50年以上、界面活性剤の製造を続けてきた。かつては10人ほど従業員がいたが、今はゼロ。大谷さん一人が細々と事業を継続している。

 平成30年春、市役所から固定資産税の支払いを求める課税明細書が届き、大谷さんは言葉を失った。

 工場の用地216平方メートルにかかる固定資産税の評価額が、前年の1256万円から3553万円へと3倍になり、年17万円だった税額も約20万円に増えていた。さらに、今年は約23万円にまでアップした。

 目と鼻の先ではかつて、大手菓子メーカー「森永製菓」塚口工場を中心にいくつもの工場が操業し作業着姿の労働者でにぎわった。しかし、バブル崩壊や近年の地価上昇などで廃業や移転が相次ぎ、25年には森永製菓の工場も移転。跡地では総戸数約1200の大型マンション開発が進み、労働者の町はファミリー層に人気のある住宅エリアへと変貌を遂げた。

 今回、固定資産税の支払額が増えた理由は、市がマンション群を含む付近一帯を税額の低い「大工場地区」から「普通住宅地区」に変更、大谷さんの工場前の市道を拡張したことで、路線価が上昇したためだ。税額は調整措置で段階的に増え、数年後には50万円を超える見通しという。

 大谷さんは「尼崎に若い方々が移り住んでいただけるのは非常にありがたい」とするが、「市には町工場の苦しい現状にも目を向けてほしい」と話す。

 大谷さんはその後、4度にわたり評価額の見直しを求めて市の担当部局に異議を申し立てたが、受け入れられなかった。市の評価審査委員会が近く最終判断する予定だが、大谷さんは「固定資産税の増額で、廃業も考えるようになった」と胸の内を明かす。

 市の担当者は「町工場周辺を住宅地区と区分したことは適正だった」と厳しい姿勢を崩さないが、市町村によって対応は異なる。尼崎市に隣接する大阪府豊中市の税務担当者は、「町工場の営業に支障をきたす場合、税の減額措置などを取るケースもある」とする。

 固定資産税に詳しい神戸大大学院の宮崎智視准教授は「住宅地区内に別用途の土地があれば特例措置を設けるのが一般的だ」と指摘。「ただ、担当者の業務負担が増えるだけでなく税収にも影響するため、市も腰が重いのだろう」と分析している。

     ◇

 固定資産税 土地や家屋の所有者に課せられる市町村税。路線価をもとに算出された評価額に応じて課税額が決まる。土地の場合は工業地区や住宅地区、商業地区などに区分され、面積のほかに用途や接道の幅などが影響する。

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