5年で125万ドル(約1.8億円)の純資産を築き、30歳のときにFIREを達成したグラント・サバティエ氏は、自著で富を築いて早期退職し、自分らしく生きるためのアドバイスをしている。同書のなかで、彼はこう言う。あなたが若ければ若いほど、フルタイムの仕事を辞めるまでに貯めなければいけない額は少なくて済む──いくつかのルールに従いさえすれば。それを可能にする条件は、予想される年間支出の25年分以上を貯蓄し、投資の利益確定をできるだけ先延ばしにすること。そして、6カ月分の生活防衛資金を12カ月分に増やし、節約生活をし、投資の元本を崩さないようにすることだ。
以下は、グラント・サバティエ著『Financial Freedom』[原文]からの抜粋を邦訳したものだ(※同書の日本語版は『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』というタイトルで朝日新聞出版より刊行されている)。
30歳で「リタイア」するなら、そのために必要な資金は60歳になってからの退職よりも少ないうえに、働かなければいけない期間が30年も減る! ばかげた話に聞こえるだろうが、市場の仕組みと複利の魔法のおかげで、これは真実なのだ。その理由を説明する。
あなたの年齢が若いほどお金が必要な年数は長くなるが、同時にお金が増える時間も長くなる──つまり、この場合は30年分の複利効果がプラスされるのだ。リタイア後も経済のインフレに合わせつつ、貯蓄の3~4%だけ引き出して生活していけば、むしろ資産は60歳までに少なくとも3~4倍に増える可能性がある。
つまり、30歳までに100万ドル(約1億4000万円)を貯め、その3~4%の支出で生活していければ、30年後に残高は300万~400万ドル(約4億3000万~5億7000万円)、あるいはそれ以上に増えていることになる。インフレに合わせて引き出し額を調整していけば、長期的にはもっと多くのお金を使うこともできる。あなたが望めば、これは非現実的なことではない。
若ければ若いほど時間とエネルギーに余裕がある場合が多い。なので、またいつでも仕事を始められるし、(好きなことをして)収入を補うこともできる。副業や不労所得で補助的な収入を定期的に得たり、アルバイトをしたりすれば、所得自体は大きく下がっても嫌いな仕事から「リタイア」して好きな稼ぎ方ができる。
30歳で経済的に自立できるだけのお金を貯めたとして、数年間はのんびりと旅行したりするかもしれないが、いずれはきっとまた働きたくなるだろう。もしあなたが精力的に目標を達成しようとする性格なら(そのはずだ!)、リタイア後も何かをしてお金を稼ぐタイプである可能性が高い。
信じてほしい。何歳で経済的自立を達成しようと、やがてはやる気が高まり、ワクワクさせてくれるプロジェクトに飛び込みたくなって、最終的にそれを通じてお金を得ることになる。こうして追加の収入が入れば、家計はより安定し、資産からの引き出し額を減らすことができる(引き出す必要があれば)……
少ない資金で早く「リタイア」し、その資金で残りの人生を生きられるようにする(しかも余裕で)ための方法を紹介しよう。