2004年に「第10回国民的美少女コンテスト演技部門賞」を受賞し、華々しく芸能界デビューを飾った女優の福田沙紀さん(34)。TBSドラマ『3年B組金八先生』での女優デビューを皮切りに、フジテレビ系『ライフ』やテレビ朝日系『メイド刑事』などで数々の印象的な役を演じ、その実力を示してきました。しかし、2020年、デビュー以来16年間所属した大手事務所「オスカープロモーション」を退所するという大きな決断を下します。この思い切った選択の瞬間は、突然訪れたと言います。フリーランスとして新たなキャリアを歩み始めてから5年が経過した今、当時の心境や現在のワークスタイルについて、福田さんご自身が語る言葉を紐解きます。
「石橋を叩き壊す」慎重派が選んだ“退所”という大きな決断
フリーランスに転身してから今年で5年目を迎える福田沙紀さんは、その月日の流れに「もう5年も経ったのだな、ととても驚いています」と率直な感想を述べます。さらに「今、あのときの自分に戻ったら、果たして同じ選択をしたか……。正直、わからないな、と思います」と付け加え、その決断がいかに大きなものであったかをうかがわせます。元々、福田さん自身は「石橋を叩いて、叩いて、壊してしまうほど慎重なタイプ」だと自己分析しており、それだけに「あのときは我ながらよく飛び出したな、勇気があったな、と思います」と、当時の自身の行動に驚きを隠しません。
オスカープロモーション退所という具体的な考えが頭に浮かび始めたのは、実際に辞める「1、2か月前」という直前だったと言います。事務所との契約更新の時期が迫る中、「直感で“フリーになろう”と決めました」と、その瞬間のひらめきが転機となったことを明かしました。この決断を親に伝えた際には、「『大丈夫なの!?』と心配していました」と家族の反応についても触れ、周囲の懸念をよそに自身の道を切り開いた様子がうかがえます。
30歳目前の「転機」:なぜ大手事務所を離れたのか
福田沙紀さんが「2004年のデビューから様々な経験をさせて頂き沢山のことを学ばせていただきました」とコメントを発表し、オスカープロモーションを退所したのは29歳の時でした。彼女にとって、この年齢がフリーランスという新たな挑戦を決意する重要な要素だったようです。「あのとき、私はちょうど30歳になる年でした。35歳や40歳になってから退所したのでは遅いのではないか、ずっと芸能界で仕事をしてきて、今後もずっとこの世界で生きていきたいのなら、しっかりと自分自身を見つめられる状況に、今、する必要があるのではないか、と思ったのです」と、30歳という節目を前に、自身の芸能活動と人生を見つめ直す必要性を感じたことを語りました。
フリーランスとして5年が経過した現在の福田沙紀さん
現在、福田さんはフリーランスとして活動しており、個人事務所を立ち上げることはしていないと言います。「自分でひとつひとつ把握して、丁寧に責任をもってやっていきたい、と思っているからです」と、自身の仕事に対する真摯な姿勢を強調しました。フリーランスという働き方を選んだ根底には、自身の人生に対する深い思いがあります。「これからは自分自身を大事にして、自分の人生を自分で選択して、生きていけるようになりたい、と思ったからです。仕事も大事ですが、まずは自分あってこその仕事だと思っています」と語る言葉からは、これまでの仕事中心の生活から、自己を尊重し、主体的に生きることを選んだ決意が感じられます。
フリーランスとしての「自己探求」と「責任」
中学2年生で芸能界にデビューして以来、福田さんの生活は常に仕事が中心でした。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる「コロナ禍で考える時間ができたとき、振り返ると“私には何もない、このままでいいのかな”と思ってしまったんです」と、自身の内面と向き合うきっかけがあったことを明かします。
ドラマ『ライフ』で主人公をいじめる安西愛海役や、『メイド刑事』での熱演は、多くのファンに強烈なインパクトを与えました。しかし、福田さん自身はそれらの成功について、謙虚な姿勢を見せます。「そう言っていただけるとありがたいのですが、当時の事務所の方ががんばってとってきて与えてくださった仕事であり、“私自身の力ではない”と思ってしまうのです」と語り、自身の功績として受け止めきれない部分があったことを示唆しました。
また、芸能界の厳しい現実も常に意識していたと言います。「この世界は仕事があるのが当たり前ではありません。才能のある方が大勢おり、やる気のある方も大勢います。そんななかで、私に続けていく資格があるのだろうか、ほかの仕事を探したほうがいいのではないか、と思ったことは何度もありました」と、幾度となく自問自答を繰り返してきた葛藤を吐露しました。それでも彼女が芸能活動を続けてこられたのは、「ただ、ただ好き、という気持ちだけで走ってきたんです」という純粋な情熱があったからに他なりません。
ドラマで演じた安西愛海役の「自信満々で強くて隙が無い」という印象を持つ人も多い福田さんですが、世間からのイメージの裏側で、彼女自身は常に自身の内面と向き合い、自問自答を繰り返す日々を送っていたことが明らかになりました。
自身の人生とキャリアを自ら選択する福田沙紀の今
福田沙紀さんは、大手芸能事務所を離れ、フリーランスとして新たなワークスタイルを確立しました。この5年間は、彼女にとって単なる仕事の継続に留まらず、自己探求と自己実現の道のりであったと言えるでしょう。慎重な性格でありながらも、30歳という節目を前に「自分の人生を自分で選択して生きていきたい」という強い意志に基づき、大きな決断を下しました。
過去の成功を事務所の力と捉え、自身の才能に疑問を抱きながらも、芸能への純粋な「好き」という気持ちが彼女を支え続けてきました。そして今、フリーランスとして一つ一つの仕事に責任を持ち、自分自身を大切にする生き方を選んだ福田さんの姿は、多くの人々に勇気と示唆を与えるのではないでしょうか。自身の内面と真摯に向き合い、新たな一歩を踏み出した彼女の今後の活動に、さらなる注目が集まります。
参照元:
- 女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー – Yahoo!ニュース / NEWSポストセブン