現代社会において、SNSはもはや生活の一部となっています。しかし、その利用が過度になると、特に成長期の子供たちにとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。本記事では、10代のスマホ依存の実態と、その背後にある心理的要因、そして専門家の意見を交えながら、スマホとの適切な付き合い方を探ります。
10代のスマホ依存の実態
名古屋市中村区の「名駅さこうメンタルクリニック」では、SNSやスマホ依存に悩む100人以上の子供たちが毎月診察を受けており、小学生の患者も増加傾向にあります。クリニックを訪れた高校3年生のAさん(18)は、1日の平均スマホ使用時間が14~15時間、SNSの使用時間は1週間で83時間にも及ぶ深刻な依存状態にありました。Aさんは、家庭環境の悩みからSNSを「心のはけ口」として利用するようになり、依存に至ったと話しています。
スマホのスクリーンタイムを表示する画面
こども家庭庁の2024年の調査によると、10歳から17歳までの子供の平日のインターネット平均利用時間は5時間2分と過去最長を記録し、その大半がスマートフォンによる利用です。
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スマホ依存が脳に与える影響
東北大学の川島隆太教授は、成長期の子供たちの脳は発達段階にあり、スマホの過剰使用による影響を受けやすいと警鐘を鳴らしています。特に、前頭前野の発達への影響が懸念されており、集中力の低下や衝動性の増加などの問題につながる可能性が指摘されています。
インタビューを受ける高校生の様子
名駅さこうメンタルクリニックの丹羽亮平院長は、共働きの家庭が増加し、大人の目が行き届かない時間が増えていることが、子供たちのスマホ依存を助長する一因だと指摘しています。
スクリーンタイムの画面
スマホとの適切な付き合い方
スマホとの適切な付き合い方を見つけるためには、まず自分のスマホ使用状況を把握することが重要です。スクリーンタイム機能などを活用し、使用時間やアプリごとの利用状況を記録することで、依存の傾向を客観的に認識できます。
こども家庭庁の調査結果
また、家族や友人とのコミュニケーションを大切にし、リアルな人間関係を築くことも重要です。 専門家の中には、スマホの使用時間を制限するアプリの活用や、寝る1時間前にはスマホの電源を切るなどの具体的な対策を推奨する声もあります。
診察の様子
スマホは便利なツールですが、使い方によっては心身に悪影響を及ぼす可能性があります。自分自身と向き合い、適切な距離感を保ちながら、スマホと上手に付き合っていくことが大切です。