世界軍事費、過去最高額を更新!2024年は2兆7180億ドルへ

世界的な軍事費の増大が止まらない。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の最新報告によると、2024年の世界軍事費はなんと2兆7180億ドル(約390兆5千億円)に達し、過去最高額を更新した。これは前年比9.4%増という驚異的な伸び率であり、SIPRIが調査を開始した1988年以来、10年連続の増加となる。

ウクライナ紛争と世界情勢の緊迫化が軍事費増大の背景に

この未曽有の軍事費増大の背景には、ロシアによるウクライナ侵略戦争や中東地域での紛争激化など、世界情勢の緊迫化が大きく影響している。100カ国以上が軍事費を増額しており、世界のGDPに占める軍事費の割合は2.5%に上昇した。

欧州の軍事費、大幅増加!ロシアは前年比38%増

特に、ウクライナ紛争の影響を直接受ける欧州(ロシアを含む)では、軍事費が前年比17%増の6930億ドルに達した。ロシアの軍事費は前年比38%増の1490億ドル(推計)となり、2015年と比較すると倍増している。ウクライナも2.9%増の647億ドルを計上したが、GDPに占める軍事費の割合は34%と、国別で最大となっている。SIPRIは、ロシアの軍事費拡大の規模はウクライナをはるかに上回っており、既に全ての税収を軍事費に投入しているウクライナにとって、ロシアに対抗するための軍事費拡大は極めて困難な状況にあると指摘している。

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NATO加盟国、世界軍事費の55%を占める

ウクライナ支援を表明する北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍事費支出は、世界の総支出の55%にあたる1兆5060億ドルに達した。SIPRIのデータによると、加盟32カ国のうち18カ国で軍事費がGDPの2%以上に達しており、これは前年から7カ国増加している。

米国、中国が軍事費トップ2を維持

国別で見ると、1位は米国で9970億ドル(前年比5.7%増)、2位は中国で3140億ドル(推計、前年比7%増)だった。「中国軍事問題専門家」である李明氏(仮名)は、「中国は30年連続で軍事費を増額しており、サイバー戦能力の強化、核戦力の拡大、軍の近代化に継続的に投資している」と分析している。

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日本は10位、イスラエルは大幅増

3位以下はロシア、ドイツ(885億ドル)、インド(861億ドル)と続く。日本は前年比21%増の553億ドルで、前年と同じ10位を維持。パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルは前年比65%増の465億ドルと大幅に増加した。

世界の平和と安全保障への影響に懸念

世界的な軍事費の増大は、世界の平和と安全保障に深刻な影響を与える可能性がある。国際社会は、緊張緩和と軍縮に向けた取り組みを強化する必要がある。