ウクライナ当局が、ロシア占領地で取材中に捕虜となり死亡した女性ジャーナリスト、ビクトリア・ロシチナ氏の遺体から拷問の痕跡を発見したと発表しました。眼球や脳の一部が摘出されており、証拠隠滅が疑われています。この悲劇的な事件は、戦時下における報道の自由と人権侵害の深刻さを改めて浮き彫りにしています。
ロシア占領地で消息不明、遺体で帰還
ロシチナ氏は、ウクライナの主要メディア「ウクラインスカ・プラウダ」などに寄稿していたフリーランスのジャーナリストでした。2023年8月、ロシア占領地で取材中に消息を絶ち、その後、ロシア南部ロストフ州の刑務所に拘留されていたことが判明しました。ロシア国防省は2024年5月にロシチナ氏の拘束を認め、同年秋に「9月に死亡した」と家族に伝えました。しかし、遺体が返還されたのは2025年2月。身元不明の男性として引き渡された遺体は、DNA鑑定によってロシチナ氏と確認されました。
ビクトリア・ロシチナさん(本人のフェイスブックから・共同)
拷問の痕跡、眼球と脳の一部摘出
ウクライナ当局によると、ロシチナ氏の遺体には骨折や感電の痕跡など、拷問を受けたことを示唆する複数の外傷が見られました。さらに、眼球と脳の一部が摘出されていたことが判明。白目の出血や脳の酸素不足など、絞殺の可能性を示す証拠を隠滅するために摘出されたとみられています。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の専門家(仮名:田中一郎氏)は、「このような残虐行為は国際人道法に明らかに違反するものであり、厳しく非難されるべきだ」と述べています。
報道の自由と人権侵害の深刻さ
この事件は、戦時下におけるジャーナリストの安全確保と報道の自由の重要性を改めて示しています。紛争地域で真実を伝えるために活動するジャーナリストたちは、常に生命の危険にさらされています。ロシチナ氏の死は、こうした危険性を改めて世界に知らしめ、国際社会によるより強力な保護の必要性を訴えるものとなっています。
真実を伝えるジャーナリストを守るために
ロシチナ氏の悲劇は、決して繰り返されてはなりません。ジャーナリストたちが安心して取材活動を行い、真実を世界に伝えることができるよう、国際社会は一丸となって取り組む必要があります。私たちは、報道の自由と人権を守るために、何ができるのかを真剣に考える必要があるのではないでしょうか。