世界銀行が発表した最新の商品市場見通しによると、2025年の原油価格は大幅に下落すると予測されています。世界的な景気鈍化や供給増加の影響を受け、英国産北海ブレント先物の平均価格は1バレル=64ドルになると見込まれ、前年比で20.7%もの大幅安となる可能性があります。
世界経済の減速と原油価格への影響
世界銀行は、トランプ前米政権の高関税政策による世界的な景気鈍化が原油価格下落の主要因と分析しています。景気が悪化すると、原油の消費が減少し、価格が下落する傾向があります。
altカリフォルニア州沖の石油・ガス掘削施設:原油価格下落の要因の一つとして供給過剰が懸念されています。
さらに、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」による供給増加も価格下落に拍車をかけています。OPECプラスは、原油価格の安定化を図るために協調減産を行ってきましたが、近年は増産に転じており、供給過剰が懸念されています。
他の資源価格への影響と途上国経済への懸念
原油価格の下落は、他の資源価格にも影響を及ぼすと予想されています。非鉄金属などを含む商品価格全体の指数は2026年に6年ぶりの低水準に落ち込むと見込まれています。
世界銀行は、商品価格の下落は貿易摩擦による短期的なインフレリスクを緩和する可能性がある一方で、資源輸出国が多い途上国の経済には打撃となると懸念を示しています。資源輸出に依存する途上国は、価格下落によって歳入が減少し、経済成長が阻害される可能性があります。
さらなる下落リスクと今後の見通し
世界銀行は、商品価格見通しには下振れリスクがあると警告しています。貿易摩擦の激化や金利上昇などによって景気がさらに悪化すれば、2025年のブレント原油価格は59ドルまで下落する可能性があると予測しています。
経済アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「世界経済の不確実性が高まる中、原油価格の先行きは予断を許さない状況です。特に、地政学リスクや気候変動の影響も考慮する必要があります」と述べています。
商品価格全体の指数は、2025年に前年比12.4%低下、2026年も4.8%の低下が見込まれています。原油価格の下落は、世界経済に大きな影響を与える可能性があり、今後の動向に注目が集まっています。