スルガ銀行の不正融資問題。かつて社会を震撼させた「かぼちゃの馬車事件」から数年、新たなアパマン融資問題が浮上し、被害者たちの苦悩が続いている。今回は、「自己責任」という言葉では片付けられない、銀行と被害者たちの複雑な攻防に迫ります。
スルガ銀行アパマン融資問題とは?
「かぼちゃの馬車事件」ではスルガ銀行が不正を認め、和解に至りましたが、今回のアパマン融資問題では、銀行側は「個別の案件」と主張し、被害者たちの訴えを一蹴している状況です。被害者同盟によると、被害総額は700億円超、不正が疑われる融資は8433件にも上るとのこと。しかし、解決に至ったのはわずか1%未満という深刻な状況です。
スルガ銀行アパマン融資問題の被害者同盟によるデモ
被害者たちの声
被害者同盟代表のA氏は、「スルガ銀行側は面談も要望も一律拒否している」と訴えます。書類の偽造など、「かぼちゃの馬車」と同様の手口が使われているにも関わらず、銀行側は責任を認めていないのです。
「スルガ側が提示した解決策は、銀行の利益を優先したもので、被害者の立場に立っていない」とA氏は批判します。公式な謝罪もないまま、形だけの解決策で幕引きを図ろうとしているように見えると、被害者たちは感じているのです。
「投資は自己責任」では片付けられない実態
多くの被害者は、スルガ銀行主催のセミナーなどで「元金なしでも大丈夫」といった甘い言葉に誘われ、偽装された数字を信じて投資を決断しました。「銀行が人を騙すはずがない」という信頼が裏切られたのです。
56歳の信定ひとみさんもその一人。不動産業者にスルガ銀行の行員を紹介され、2億8200万円のローンを組んで物件を購入しました。しかし、すぐに家賃滞納が始まり、4ヶ月後には完全に途絶。レントロールの偽装や物件の広さ discrepanciesが発覚し、査定額は購入金額の3分の1にも満たない8900万円でした。
信定さんが購入した物件のイメージ
スルガ銀行側の主張
スルガ銀行側は、「裁判所において当社が責任を負うべき損害が生じたとの判断は示されていない」と主張。また、「面談の一律拒否」も事実ではなく、顧客対応窓口を設置し、真摯に相談に応じているとしています。
デモの差し止め訴訟については、「社員の心身の安全を守るため」と説明。執拗な個人攻撃から社員を守るためのやむを得ない措置だと強調しています。
専門家の見解
不動産金融に詳しい専門家、B氏(仮名)は、「銀行は顧客に対して適切な説明責任を負う必要がある」と指摘します。「特に、投資初心者に対しては、リスクを十分に理解させた上で契約を進めるべきだ」と述べ、銀行側の対応に疑問を呈しています。
被害者たちの未来
信定さんは、「スルガ銀行は対外的には被害者に寄り添っているように見せかけているが、訴訟内容を見れば本心は明らかだ」と涙ながらに訴えます。被害者同盟は、今後も団結して戦い続ける決意を固めています。
スルガ銀行アパマン融資問題。これは単なる「投資の失敗」ではなく、銀行の責任が問われる深刻な社会問題です。被害者たちの声に耳を傾け、真摯な解決策が求められています。