韓国のひとり親家庭:厳しい現実と支援の必要性

韓国では、ひとり親家庭の経済状況が非常に厳しいことが社会問題となっています。 家事や育児に追われながらも、十分な収入を得ることが難しく、生活に困窮する家庭が多い現状が浮き彫りになっています。今回は、韓国のひとり親家庭の現状と、必要とされる支援策について詳しく見ていきましょう。

貧困に苦しむひとり親家庭

韓国保健社会研究院の報告書によると、なんとひとり親家庭の約半数が所得階層の下位20%に属しているという衝撃的な事実が明らかになりました。これは、2021年の社会保障行政データに基づく分析結果であり、ひとり親家庭の経済基盤の脆弱さを如実に示しています。生活保護を受けなければ暮らしていけない家庭も少なくありません。

韓国ひとり親連合の記者会見の様子韓国ひとり親連合の記者会見の様子

時間のやりくりに苦悩する日々

共働き家庭と比較すると、ひとり親家庭は家事に多くの時間を費やす一方で、子どものケアにかける時間は少ない傾向があります。2019年の統計庁「生活時間調査」によれば、ひとり親家庭の家事時間は平日平均2時間15分。共働き家庭の1時間41分と比べて30分以上も長いのです。

育児にも十分な時間を割くことができない現状も深刻です。共働き家庭では、未就学児や10歳未満の子どもを持つ場合、2004年から2019年にかけて子どものケア時間が増加しましたが、仕事を持つひとり親家庭では逆に半減しています。仕事と育児の両立に苦労している姿が想像できます。

支援策の現状と課題

韓国では少子化対策として仕事と生活の両立支援政策が拡充されてきましたが、その恩恵は主に共働き家庭に限定されているようです。ひとり親家庭への支援は十分とは言えず、大きな変化は見られないと専門家は指摘しています。

例えば、パク・ミンソン氏(家族問題研究所代表)は、「ひとり親家庭への支援は、金銭的な援助だけでなく、保育サービスの拡充や柔軟な働き方の促進など、多角的なアプローチが必要だ」と述べています。

今後必要とされる支援とは?

ひとり親家庭が安心して生活できる社会を実現するためには、更なる支援策の充実が不可欠です。具体的には、以下のような対策が考えられます。

経済的支援の強化

生活費や教育費の補助、住宅支援などを拡充し、経済的な負担を軽減する必要があります。

保育サービスの拡充

保育所の増設や延長保育の実施など、子育てと仕事の両立を支援する環境整備が重要です。

就労支援の強化

職業訓練や就職斡旋など、ひとり親が安定した収入を得られるよう支援する必要があります。

柔軟な働き方の促進

在宅勤務や時短勤務などの選択肢を増やし、ひとり親が働きやすい環境を整備することが重要です。

韓国のひとり親家庭を取り巻く現状は深刻であり、早急な対策が求められています。社会全体でひとり親家庭を支える仕組みを構築し、子どもたちが安心して成長できる社会を実現していく必要があるでしょう。