日本の食卓に欠かせないお米。近年、米価は16週連続で最高値を更新しています。消費者は家計への負担を強いられ、ニュースでも「米不足」が叫ばれていますが、実は生産者である農家も厳しい状況に立たされているのです。今回は、千葉県旭市で三代続く米農家、加瀬好基さん(34歳)にお話を伺い、米価高騰のウラにある日本のコメ問題について深く掘り下げていきます。
重労働と向き合う米農家の現実
加瀬さんの米農家は、東京ドーム約4個分もの広大な田んぼで米作りを行っています。田植えシーズン、青井キャスターが取材に訪れると、そこには想像をはるかに超える重労働がありました。5kg以上もある苗の運搬、田植え機への積み込み…すべて手作業で行う工程は、高齢化が進む農業従事者にとって大きな負担となっています。GPS搭載の田植え機など、近代的な設備を導入している加瀬さんでも、人の手による作業は不可欠であり、効率化と負担軽減の両立が課題となっているようです。
alt="田植えの様子"
米価高騰でも農家の収入は増えない?
「コメの価格が上がっても、利益が増えているわけではないんです。」と語る加瀬さん。燃料費や肥料代など、生産コストの高騰が利益を圧迫している現状を明かしました。JAを通さず、自ら販路を開拓し、米問屋などに販売することで少しでも収入を増やそうと努力されていますが、依然として厳しい状況が続いているようです。
alt="苗を運ぶ様子"
休耕地増加と担い手不足:日本のコメの未来
米不足が叫ばれる一方で、耕作放棄地(休耕地)は増加の一途をたどっています。個々の農家がこれらの土地を活用しようにも、作業効率の悪さから利益につながらず、難しいのが現状です。
さらに深刻なのは担い手不足。加瀬さんは跡継ぎである息子さんに農業を継がせたい思いを抱きつつも、将来への不安から強く勧めることができないといいます。農業専門家の山田一郎氏(仮名)も、「後継者不足は日本の農業全体の課題であり、若者が農業に魅力を感じられるような施策が必要だ」と指摘しています。
alt="加瀬さんと青井キャスター"
変化への対応と未来への希望
2025年には飼料米と食料米の生産比率変更を迫られるなど、米農家は大きな転換期を迎えています。加瀬さんは、米のブランド化など、付加価値を高めることで国内消費の拡大を目指しています。
日本のコメ問題の解決には、生産者と消費者の理解と協力が不可欠です。「10年、20年という長い道のりになるかもしれない」と語る加瀬さん。それでも、未来への希望を胸に、日本の食卓を守るため、日々努力を続けています。