令和の百姓一揆:コメ価格高騰の裏で苦悩する農家の真実

日本の食卓に欠かせないコメ。近年の価格高騰は、消費者にとって大きな負担となっています。しかし、その裏で、生産者である農家もまた、厳しい状況に追い込まれていることをご存知でしょうか。今回は、「令和の百姓一揆」の中心人物である菅野芳秀氏へのインタビューを通して、コメ農家の現状に迫ります。

コメ価格高騰は農家の救済策となるか?

スーパーマーケットではコメの価格が上昇し続け、家計を圧迫しています。政府は備蓄米の放出などの対策を講じていますが、効果は限定的のようです。このような状況の中、農家たちは「令和の百姓一揆」と題したデモ行進を行い、窮状を訴えました。果たして、コメの価格高騰は農家にとって救済策となるのでしょうか?

alt="トラクターデモに参加する農家たち。令和の百姓一揆の様子"alt="トラクターデモに参加する農家たち。令和の百姓一揆の様子"

山形県長井市で50年に渡りコメ作りを続けている菅野氏は、価格高騰によって農家が潤っているという見方は誤解だと語ります。

コメ作りは趣味?利益の出ない構造的課題

菅野氏によると、長年コメの価格は生産コストを下回る状態が続いており、コメを作れば作るほど赤字が増える構造になっているといいます。農林水産省のデータによれば、コメの生産原価は1俵(60kg)あたり約1万5000円~1万6000円。しかし、農協が農家から買い取る価格は、品種によって差はあるものの、過去10年間で1万2000円~1万3000円程度に留まっているとのこと。

「国はコメ農家に生業としてではなく、『趣味としてコメを作れ』とでも言いたいのだろうか」と菅野氏は嘆きます。

物価高騰の波は農家にも

近年の物価高騰は、農家にとっても大きな打撃となっています。農耕機具、燃料、肥料など、コメ作りに必要な資材の価格は軒並み上昇。田植え機やトラクター、コンバイン、乾燥機といった高額な農業機械の購入費用も、基本的に農家の自己負担となっています。これらの費用は、安価なものでも400万円、高額なものでは1000万円近くにもなるそうです。

alt="山形県長井市の田園風景。菅野氏がコメ作りを行う地域"alt="山形県長井市の田園風景。菅野氏がコメ作りを行う地域"

例えば、農業機械の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「近年の燃料費の高騰は、農家の経営を圧迫する大きな要因となっている。特に、大規模な農地を所有する農家ほど、その影響は深刻だ」と指摘しています。

消費者の理解と協力が不可欠

コメの価格高騰は、消費者だけでなく、生産者である農家にとっても大きな課題です。食料自給率の向上という観点からも、日本の農業を支えるためには、消費者の理解と協力が不可欠と言えるでしょう。

今回の「令和の百姓一揆」は、コメ農家の厳しい現状を改めて浮き彫りにしました。今後、持続可能な農業を実現するためには、生産者と消費者が共に考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。