証券口座の不正アクセスによる乗っ取り被害が増加する中、日本証券業協会は2日、大手証券会社10社と連携し、被害者への補償方針で合意したと発表しました。これまで補償に慎重だった業界ですが、顧客保護の観点から異例の対応に踏み切りました。
証券業界が方針転換、顧客離れを懸念?
近年、巧妙化するサイバー攻撃により、証券口座の不正アクセス被害が深刻化しています。パスワードが盗まれ、勝手に株が売買されるなどの被害が報告されており、顧客の不安が高まっていました。こうした状況を受け、日本証券業協会は、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券の大手10社と共に、被害者への補償を決定しました。この迅速な対応は、顧客離れへの懸念も背景にあるとみられます。
日本証券業協会の松尾元信専務理事が不正アクセス対策について説明する様子
個別判断による補償、その基準は?
具体的な補償水準は、各社が事例ごとに判断するとしています。2024年1月以降の被害が対象となり、利用者のパスワード管理状況や、証券会社側のセキュリティ対策の適切性などが考慮される見込みです。金融ジャーナリストの山田一郎氏は、「今回の補償は、各証券会社が個別に判断するため、透明性と公平性を確保することが重要になるだろう」と指摘しています。(※山田一郎氏は架空の人物です。)
顧客の責任範囲はどこまで?
従来、証券会社の約款では、IDやパスワードが確認された取引については、損害賠償の責任を負わないとされていました。しかし、今回の決定は、約款の規定に関わらず、補償を行うという異例の措置となります。日本証券業協会の松尾元信専務理事は、「今回の措置は異例のものだ」と述べ、事態の深刻さを改めて強調しました。
セキュリティ強化と意識向上で更なる対策を
今回の補償方針決定は、被害者救済に向けた第一歩と言えるでしょう。しかし、根本的な解決には、証券会社側によるセキュリティ強化と、利用者自身のセキュリティ意識の向上が不可欠です。二段階認証の導入や、パスワードの定期的な変更など、個々の対策を徹底することで、被害の発生を抑えることが期待されます。
証券会社における口座乗っ取り被害の対策イメージ
今後、証券業界全体で、更なるセキュリティ対策の強化と、顧客への注意喚起が求められるでしょう。