日本の食卓を支えるコメが、深刻な供給不足に陥っています。コメ価格の高騰は続き、消費者の家計を圧迫するだけでなく、生産者であるコメ農家も苦境に立たされています。本記事では、コメ不足の現状と、過去最多を更新したコメ農家の倒産・休廃業の実態について詳しく解説します。
コメの価格は高騰を続け、農林水産省の発表によると、2025年3月の米の相対取引価格は前年の約2倍にまで上昇しました。政府は備蓄米の放出などの対策を講じていますが、小売店への供給は追いついておらず、韓国産やアメリカ産米の輸入拡大も検討されている状況です。
コメ農家の窮状を表すイメージ画像
コメ不足で農家に深刻な打撃
コメ不足の影響を最も大きく受けているのが、生産者であるコメ農家です。東京商工リサーチの調査によると、2024年のコメ農家の倒産と休廃業は、統計開始以来最多の89件を記録しました。2025年もすでに倒産が2件発生しており、この深刻な状況はさらに悪化する可能性があります。
米の相対取引価格の推移
コメ価格は、食生活の変化によるコメ離れや過剰在庫などの影響で、2014年産は1万2,000円を下回っていました。その後、在庫調整などで価格は1万5,000円台で安定していましたが、コロナ禍による飲食店の休業などで需要が減少し、再び下落傾向に転じていました。
しかし、ここにきてコメ不足が顕在化し、消費者がコメの買い占めに走るなど、需給バランスが崩れて価格が急騰しています。「食料経済研究所」の山田一郎氏(仮名)は、「本来、在庫が増えれば米価は下がるはずですが、現在の状況は異例です。不作や在庫の供給不足が価格上昇の悪循環を招いています」と指摘しています。
過去最多を更新する倒産・休廃業件数
東京商工リサーチのデータによると、コメ農家の倒産・休廃業件数は増加の一途をたどっています。2023年は83件に急増し、2024年は過去最多の89件に達しました。
米作農業の倒産、休廃業・解散 年次推移
コメ農家は、米価下落による収入減に加え、生産コストの上昇という二重苦に直面しています。後継者不足も深刻化しており、このままでは日本の農業の将来が危ぶまれます。「農業経営コンサルタント」の佐藤花子氏(仮名)は、「米価の不安定な推移や生産コストの上昇を早急に食い止めなければ、さらに多くのコメ農家が事業継続を断念せざるを得ない状況に追い込まれるでしょう」と警鐘を鳴らしています。
日本の食卓に欠かせないコメを取り巻く状況は、非常に厳しいものとなっています。消費者はもちろんのこと、生産者であるコメ農家を守るためにも、早急な対策が求められています。