教材費の端数27円、ユニセフへ寄付で波紋 保護者への説明不足で練馬区立小学校が指導受ける

東京都練馬区立小学校で、教材費の余剰金27円がユニセフに寄付されていたことが分かり、波紋を広げています。保護者への事前の説明がなかったため、区教育委員会から指導を受けたとのことです。少額とはいえ、保護者から集めたお金の使い道に関する透明性と説明責任の重要性が改めて問われる出来事と言えるでしょう。

27円の寄付、保護者から不信の声

事の発端は、2024年度の決算書に「ユニセフ募金 27円」との記載があったこと。保護者からは「金額の大小ではなく、説明なく寄付されたことに不信感がある」との声が上がっています。教材費はドリルなどの副教材購入のために集められたもので、総額は117万2736円。その中で27円という端数が、なぜユニセフに寄付されたのでしょうか。

alt東京都練馬区立小学校の2024年度決算書。教材費の支出内訳に「ユニセフ募金 27円」と記載されている。alt東京都練馬区立小学校の2024年度決算書。教材費の支出内訳に「ユニセフ募金 27円」と記載されている。

区教委のルールと学校の対応

練馬区教育委員会では、教材費の余剰金は保護者に返金することを原則としています。ただし、全員に返金できない端数が発生した場合、公的募金への寄付も想定されているとのこと。しかし、今回のケースでは学校側が事前の説明を怠っていたため、「学校の落ち度」と判断され、指導を受けたようです。

副校長は「事前説明を失念していた」と認め、今後の改善を約束。新年度の保護者会では説明を行い、25年度の教材費のお知らせにも寄付の可能性について明記したということです。

他区の事例と専門家の見解

近隣の区では、中野区も保護者の承諾を得た上で端数を寄付するケースがあるとのこと。一方、板橋区では教育委員会からの明確な指示はないものの、決算書を見ると寄付を行っている学校もあるようです。

教育財政に詳しい専門家(仮名:山田一郎氏)は、「少額であっても、保護者から集めたお金の使い道は明確にする必要がある。寄付という選択肢も、保護者への丁寧な説明と同意が不可欠だ」と指摘しています。

alt決算書のグラフ。教材費の内訳などが示されている。alt決算書のグラフ。教材費の内訳などが示されている。

まとめ:透明性と説明責任の重要性

今回の件は、学校における財務処理の透明性と説明責任の重要性を改めて浮き彫りにしました。金額の大小に関わらず、保護者との信頼関係を築くためには、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。今後、同様の事態を防ぐためにも、各学校が適切な対応をとることが求められます。