近年、日本人の健康寿命は着実に伸び続けています。これは喜ばしいことである一方で、リタイア後の生活をより長期にわたって支える必要があることを意味します。
「貯蓄はどのくらい必要なのか」「老後の収支はどうなるのか」といった不安は、リタイア前から誰しもが抱えるものではないでしょうか。
内閣府による最新の「高齢者の経済生活に関する調査(令和6年)」結果によると、60歳以上の92.6%が「経済的な面で不安に思う」と答えており、その理由として物価上昇や、収入や貯蓄の少なさを懸念しています。
経済的な不安を解消するための一歩として、世の中の水準や、自分自身の状況を知ることが大切です。
そこで本記事では、現在の「70歳代無職夫婦世帯」の生活の実態を考えていくために、生活費・貯蓄額・年金額を確認していきます。ぜひご参考にしてください。
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70歳代以上の「老後生活費」の実態
総務省統計局の家計調査報告によると、70歳以上二人以上世帯の消費支出の平均額は、合計で月々約25万2000円です。
税金など、消費財以外に支払う費用である非消費支出を加えると、月の支出は25万2000円を上回ります。
消費支出のみの月の平均支出内訳は以下の通りです。
・食料費:7万8565円
・住居費:1万5954円
・光熱・水道費:2万3455円
・家事・家具用品費:1万1502円
・被服及び履き物費:5858円
・保健医療費:1万7629円
・交通・通信費:2万8168円
・教育費:359円
・教養娯楽費:2万3402円
・その他費用:4万8205円
70歳代の貯蓄額っていくらぐらい?
次に、70歳代二人以上世帯の、貯蓄額の水準を見ていきます。
●【70歳代】二人以上世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合
・平均:1923万円
・中央値:800万円
70歳代二人以上世帯の貯蓄額を見ると、平均値が1923万円、中央値が800万円と、両者に二倍以上の差があります。つまりは、一部の高額貯蓄世帯が平均値を押し上げており、全世帯の半数の貯蓄額は、800万円以下であるということがわかります。