宮内庁発足以来、初めての事案
宮内庁職員が天皇ご一家の生活費である内廷費を窃取した前代未聞の事件。同庁は事件の矮小化に躍起で問題職員の性別すら明かさないが、本誌(「週刊新潮」)は独自に職員を特定し、その祖母に話を聞いた。彼女が沈鬱(ちんうつ)な表情で語った、孫の人生と天皇ご一家との特別な関わりとは。
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宮内庁がある重大な事案を公表したのは今月1日のことだ。
「宮内庁は天皇ご一家の日常の生活費にあたる内廷費を盗んだとして、20代の係員級の侍従職を1日付で懲戒免職にしたと公表しました。侍従職の40代の課長補佐級職員も、適切な管理を怠ったとして減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと併せて発表したのです」
とは宮内庁担当記者。
「1日の午後3時に秘書課長がレクを行い、事案が明るみに出たのですが各社、完全に寝耳に水の状態でした。“御手元金”とも呼称される内廷費の窃盗事件は、宮内庁発足以来、初めてのことです」(同)
様子がおかしかった問題職員
宮内庁は問題職員の性別すら明らかにしていないが、ことは国民の血税に関わり、隠蔽(いんぺい)など許されるはずもなかろう。本誌は今回、問題職員の特定に至った。その人物は25歳の男性の侍従職である。宮中では「内舎人(うどねり)」という役職にあった。本稿では以下、山崎永太(仮名)と呼称する。
「永太は私の孫です。優しい子で、息子のように育てた自慢の孫でした。テレビで事件を報じていますよね。本当に私は悪い夢でも見ているような感じで。まだ、私自身、受け止められないというか……」
そう声を振り絞るのは、東京郊外の一軒家に一人で暮らす山崎の祖母である。
「4月18日、突然、永太から電話がかかってきて、“おばあちゃん、休みが取れたから行くね”と。翌19日の昼ごろかな。永太が、一人でリュックサックを背負って家に来たんです」(同)
ほどなくして、祖母は孫の様子がおかしいことに気が付く。
「私が家の中を動き回ると、私にべったりくっ付いて歩いて回るんですね。子供の時から一緒だから、“なんか言いたいことがあるのかな”とは感じました。でも、なかなか言わなかった」(同)
しかし、山崎は帰り際に突然、かしこまって座り直し、
「“僕、宮内庁から出向になる”と言うんです。“出向先で働きたくないから、仕事を変える”と。“IT系の仕事を探している”とも言っていました。私は、“せっかく周りからもよくしてもらっているのだから、出向と言われたのなら、そこでしっかり働きなさい”と伝えたんです」(同)