近年の報道で、障害年金の不支給件数増加が注目を集め、社会全体で障害者支援制度への関心が高まっています。特に、生活や就労に不安を抱える方を支える「精神障害者保健福祉手帳」は重要な制度です。本記事では、厚生労働省の調査を基に、この手帳の所持状況やその概要を解説します。
精神障害者保健福祉手帳や支援制度の申請に関する書類を持つ手元のイメージ。
障害者手帳の種類とそれぞれの目的・所持者数
障害者手帳は、障がいの種類や程度に応じた福祉サービスや支援を通じて、生活の困難を軽減し社会参加を促進することを目的としています。主要な手帳は以下の3種類です。
- 身体障害者手帳: 身体の機能に一定以上の障がいがある方が対象。所持者数478万3069人。
- 療育手帳: 知的障害がある方が対象。所持者数128万1469人。
- 精神障害者保健福祉手帳: 一定程度の精神障害の状態にある方が対象。所持者数144万8917人。
これらの手帳は、それぞれ異なる法律や制度に基づき、対象となる障害の種類や所持者数が大きく異なります(令和5年度福祉行政報告例、衛生行政報告例より)。
「精神障害者保健福祉手帳」の所持状況と年齢別傾向
「精神障害者保健福祉手帳」は、統合失調症、気分(感情)障害、てんかん、発達障害などを対象とし、障がいの程度に応じて1級から3級までの等級に分類されます。厚生労働省「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」によると、令和4年の所持者数が最も多い年齢階級は50〜59歳で24万5000人でした。
前回調査の平成28年と比べ、0〜9歳の年代で所持者数が約4倍に急増しています。50歳代が最多なのは、精神疾患の長期化や加齢による影響が考えられます。一方、0〜9歳の急増は、発達障害の社会的な認知度向上と早期診断・療育の取り組みが広がった結果と分析されます。本手帳は、等級によって受けられる支援内容が異なります。
まとめ
「精神障害者保健福祉手帳」は、精神的な困難を抱える方々にとって不可欠な支援制度です。本記事では、他の障害者手帳との違いや、年代別の所持状況、特に若年層での増加傾向について解説しました。この手帳制度が、対象者の社会参加と生活の質の向上に貢献し続けるためにも、社会全体のさらなる理解と支援が期待されます。
参考文献
- 厚生労働省「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」
- 厚生労働省「令和5年度福祉行政報告例」
- 厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」
- LIMO「精神障害者保健福祉手帳」所持者が多いのはどの年代?受けられる支援とは?(Yahoo!ニュース配信): https://news.yahoo.co.jp/articles/e0080dbb392454090f7802dc0a294bba47a7777b