ウーバーイーツが導入した新システムの問題点を配達員目線で考える【チャリンコ爆走配達日誌】


ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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この春からウーバーイーツはふたつの新システムを導入しました。

ひとつはサブスクサービス「ウーバーワン」の高評価配達員による配達サービス。そしてもうひとつは配達員に対する「配達リクエストの再依頼システム」の導入です。

これらの新サービスが注文者や配達員にどんな影響をもたらすのか、いろいろ考察してみたいと思います。

まずは、ウーバーワンのサービスから。

ウーバーワンは月額498円もしくは年額3998円を注文者が支払うことで、配達手数料が0円になるサブスクサービス。他にも対象となる店の食品や日用品を注文するとサービス料が最大30%割引になる、メンバー限定の割引クーポンが定期的に配布されるなど、さまざまな特典があります。

このウーバーワンで3月31日から「高評価配達員にしか配達させない」というサービスがスタートしました。

SNSを見ると配達に関するトラブルをよく見かけるので、注文される方にとっては評価の高い配達員が運んでくれることで安心できるサービスです。これを機にウーバーワンを申し込もうと検討される方も多いと思います。

追加料金を支払うサービスなので、一般の方とのサービスの差異を図るのは間違っていないと思います。ただ、実際に現場で配達している身としては「これが特別なサービスになるのか?」と感じてしまいます。

ここ1年ほど、配達する距離が長いのに配達員に支払われる配達料が最低ラインの320円という激安配達案件が、注文の多い時間帯にちらほら舞い込んでくるようになりました。運営側によると、配達員に支払われる配達料は配達員の数や需要などに基づいて算出しているとのことですが、その計算式を一度見せてくれと思うほど安くて驚きます。

どういう理由で激安配達の依頼が出るのか、正確な理由はわかりませんが、試しに何度か激安配達をして、商品を直接受け渡す機会のある時に注文された方に聞いてみたところ、ほとんどの方が「ウーバーワンを利用している」とのことでした。

実際に話を聞いた人も少ないですし、逆に高額配達案件の際に「ウーバーワンを使っていますか?」とも聞いていないので正確なところはわかりませんが、私の実感としてはウーバーワンを使って注文すると、配達員に支払われる配達料が安くなる傾向があるようです。

これが事実だとすると、配達員の多くがその依頼を拒否します。こういった依頼は、配達を始めたばかりの人やスキマ時間に少しだけ配達される方が受けるケースが多いのですが(こちらも私の実感です)、このような方は配達回数がまだ少なく、配達を始めた頃に受けたBAD評価の影響で、評価の高い配達員ではない方が多いです。

となると、配達員がなかなかマッチングせず、注文してから商品の到着まで時間がかかってしまう可能性が高くなります。

追加料金を支払った結果、商品の到着がこれまで以上にかかるようになるのはサービスの向上とはいえないと思うので、配達員に支払う配達料を上げ、高評価配達員が飛びつくようなシステムに切り替えれば多くの配達員が「商品を丁寧に運んで高評価配達員になればもっと稼げる」と感じて、すべてがいい方向に向くと思うのですが……。

ちなみに日本の話ではないのですが、アメリカでは先月、ウーバーワンのサービスが「十分な説明を行なわずに加入させ、解約手続きを困難にしている」という理由で連邦取引委員会に提訴されたので、サービス加入の際は配達料無料など、いろんなサービスが受けられる条件などを十分に確認した上での加入をオススメします。



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