夏休み、子どもの命を守る「とっさの判断力」の育み方:専門家対談から学ぶ現代の危機管理

長かった夏休みも終盤に差し掛かり、子どもたちが自宅や外出先で一人になる時間が増える傾向にあります。子どもを予期せぬ事故や事件から守る上で最も重要なのは、子ども自身が持つ「とっさの判断力」だと指摘するのは、子ども向けに「自分の身を守る方法」を網羅的に紹介した児童書『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)の著者、滝乃みわこ氏です。この重要な能力を育む過程において、大人の言動がどのように影響するのか。滝乃氏と、『おうち性教育はじめます』シリーズの著者であるフクチマミ氏の対談から、現代の子どもたちに必要な教育のあり方を探ります。

『いのちをまもる図鑑』が提案する新しい学びの形

フクチマミ氏は、親の立場から『いのちをまもる図鑑』を読み込み、家庭での防犯対策を共有する重要性を感じたと言います。この本は、子どもだけでなく大人にとっても新たな知識を提供しており、特に「心臓が止まってしまった人の助け方」といった応急手当に関する情報は、あらためて学ぶ機会を与えてくれます。滝乃氏自身も、取材中に「大人も知っておかないと危ない」と感じ、応急手当の講習に参加したと明かしました。

大人が子どもと一緒に知識を深められるよう、『いのちをまもる図鑑』はクイズ形式で構成されています。親が出題し、子どもが答える、あるいはその逆のパターンで、クイズを出し合いながら知識をアップデートしていくことで、より深い理解と定着を促すことを目指しています。

いのちをまもる図鑑の本文イラスト:五月女ケイ子氏による子どもたちが安全について学ぶ様子いのちをまもる図鑑の本文イラスト:五月女ケイ子氏による子どもたちが安全について学ぶ様子

大人も知らない「危険回避の常識」:クイズ形式で深まる理解

フクチ氏は、子どもたちが大人に出題することで、「知らなかった!」と大人が間違える場面も多いだろうと期待を寄せます。「カミナリが迫ってきたら、どこに逃げる?」といった問題は、特に「第1章 危険動物」や「第2章 自然災害」のクイズで盛り上がることでしょう。滝乃氏も、この盛り上がりが子どもたちの記憶に残り、楽しみながら読み進めてもらえることへの願いを込めています。

実際に子どもたちからは、「自分や友達の命を守るために買った」「ぼくはこの本は世界一いい本だと思う」といった熱い感想が寄せられています。「いのち」に関わる情報は、玉石混交のインターネット情報ではなく、専門家による監修と綿密な事実確認を経た書籍から知識を得ることが不可欠だと滝乃氏は強調します。本書は、医療、災害、危険生物、犯罪など各分野の専門家が章ごとに監修し、さらに外部の校正者による目も通しているため、多くのプロが事実確認を行った信頼性の高い情報のみが掲載されています。大人でもネット上の不正確な情報をうっかり拡散してしまう現代において、この確かな情報の価値は計り知れません。

デジタル時代の子どもを守る:ネット上の危険と情報リテラシーの重要性

滝乃氏は、いわゆる「闇バイト募集」など、ファクトチェックをすることで防げる危険や被害があるため、「ウソ情報の見分け方」についても本書に盛り込んだと述べています。特に夏休み期間中は、子どもがインターネットに触れる時間が増える傾向にあり、デジタル環境における安全教育の重要性が増しています。

フクチ氏は、現代の子どもたちが生まれた時からインターネットやSNSが常に存在する世代であることを指摘し、大人は安易に「ネットはダメ!」と一方的に取り上げるのではなく、情報を見極める知識を子どもたちと話し合うことが大切だと提言します。このように、親と子が共に学び、対話することで、現代社会に潜む多様な危険から子どもたち自身が身を守る力を養うことができるでしょう。

結論

夏季休暇期間中、子どもたちが直面しうる様々なリスクを乗り越えるためには、彼ら自身の「とっさの判断力」の育成が不可欠です。この能力は、単に知識を与えるだけでなく、親と子が共に学び、対話し、信頼できる情報源から正確な知識を得る過程で培われます。デジタル化が進む現代においては、インターネット上の危険を見抜き、正しい情報を選択する「情報リテラシー」の教育も、子どもの安全を守る上で極めて重要です。滝乃みわこ氏とフクチマミ氏の対談が示すように、『いのちをまもる図鑑』のような質の高いコンテンツを通じて、家庭で積極的に安全教育に取り組むことが、現代の子どもたちをあらゆる危険から守る確かな一歩となるでしょう。

参考資料

  • ダイヤモンド・オンライン (2025年8月16日). 「夏休みだからこそ知るべき「子どもの身の守り方」、専門家が語る「とっさの判断力」の育て方」. Yahoo!ニュース.
  • 滝乃みわこ 著. 『いのちをまもる図鑑』. ダイヤモンド社.
  • フクチマミ 著. 『おうち性教育はじめます』シリーズ. KADOKAWA.