栃木県立大田原高校(大田原市)で、全生徒が徹夜で歩き続ける伝統行事「85キロ強歩」が、今年度は35キロに短縮されることになった。学校規模の縮小に伴い、教職員や保護者らの安全管理の負担が増しているためという。2日間に及んだ行事は、午前に出発して夕方に終える1日の行事となる。
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「質素堅実」の校訓にふさわしい精神や体力を養おうと1986年にはじめた。これまでは、午前に高校を出発し、途中で休憩や食事を取りつつ、大田原市街地を抜けて矢板市、那須塩原市を巡って夜通し歩き、翌日の正午ごろに戻るコースだった。コロナ禍での中止や荒天による中断をはさんで、昨年度は5年ぶりに85キロの完全実施が実現した。
長い道のりでは安全確保のために、教職員だけでなく多くの保護者の協力が必要で、交通量の多い危険な場所での誘導や給水場の手伝いなどを担ってもらっている。
かつては1千人近くいた生徒も今は約600人。教職員や保護者の数も減っている。それでも誘導する場所を簡単に減らすわけにはいかない。安全確保のための負担が増していた。松本秀則教頭は、「安全管理上の課題が顕在化して、距離を短縮せざるをえなくなった」という。
今年度は、35キロに短縮したコースで5月15日に行われる。午前9時45分に学校を出発して、午後6時30分ごろに那須塩原市の道の駅「湯の香しおばら」に到着する予定だ。
来年度以降については未定だが、2日かけて徹夜で歩くような行事に戻ることは難しいとみられている。(海東英雄)
朝日新聞社