兵庫県警は、神戸市内で発生した認知症の高齢男性の死亡事件に関して、パトロール中の警察官2名に対し、警務部長注意の処分を下しました。2023年12月、屋外で発見された男性に声をかけなかったことが問題視されています。男性はその後、低体温症の影響も考えられる急性虚血性心疾患で亡くなりました。この事件は、認知症高齢者の保護と警察の対応について、改めて議論を呼ぶものとなっています。
巡査部長と巡査、認知症男性への声かけ怠る
2023年12月20日深夜、神戸市内の駐車場で、40代男性巡査部長と20代男性巡査は、タイヤ止めに腰掛ける70代男性を発見しました。男性は長袖シャツにキャップ姿で、一見して不審な様子はなかったため、2人は声をかけずに通り過ぎました。しかし、翌朝、同じ場所で男性は亡くなっているのが発見されました。
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死亡男性、行方不明の認知症患者と判明
後の調査で、亡くなった男性は市内の病院に入院中の認知症患者で、発見の2日前に病院から行方不明になっていたことが判明。家族から捜索願も出ていました。警察官が男性を発見した駐車場は、病院から数キロ離れた場所でした。
低体温症の可能性も、警察官を処分
司法解剖の結果、死因は急性虚血性心疾患でしたが、寒さによる低体温症が影響した可能性も指摘されています。行方不明者情報は管轄の違いから2人には伝わっておらず、県警は声をかけた時点で助かったかは不明としつつも、結果の重大さを鑑み、2人を警務部長注意処分とし、業務上過失致死容疑で書類送検しました。
専門家の見解:認知症徘徊への対応の難しさ
高齢者介護の専門家である田中先生(仮名)は、「認知症患者の徘徊は予測が難しく、警察官も難しい判断を迫られる」と指摘します。「見た目だけでは判断できないケースも多く、積極的な声かけが重要だが、プライバシーへの配慮も必要だ」と、対応の難しさを語りました。
再発防止へ、警察の情報共有強化が課題
今回の事件は、認知症高齢者の徘徊対策と、警察における情報共有の重要性を改めて浮き彫りにしました。県警は再発防止に向け、関係機関との連携強化や、行方不明者情報の迅速な共有など、対策を強化していく方針です。
まとめ:声かけの重要性と課題
この痛ましい事件は、認知症高齢者への声かけの重要性と、同時にその難しさを示しています。警察官の対応だけでなく、地域社会全体で認知症への理解を深め、見守り体制を強化していくことが求められています。