フランシスコ教皇の死去に伴い、カトリック教会のトップを決めるための特別な選挙「Conclave(コンクラーベ、教皇選挙)」が始まります。ここでは、教皇選挙の仕組みを誰でもわかるようにまとめました。
そもそも、ローマ教皇ってどんな人?
ローマ教皇は、約14億人の信者を持つカトリック教会の最高の指導者です。バチカン市国という小さな独立国の元首でもあり、世界中のカトリック教会を精神的なリーダーとして導く、非常に重要な役割を担っています。信者にとって教皇は、イエス・キリストの使徒で初代教皇とされる聖ペトロの後継者とされ、神の教えを伝える特別な権威を持つ存在として尊敬されています。
教皇選挙は誰が投票する?どこで行われる?
この重要な選挙に参加できるのは、教皇によって任命された世界中のカトリック教会の重要な地位にある聖職者たち「枢機卿(すうききょう)」です。教皇選挙は、投票用紙を使った「秘密投票」で行われ、枢機卿たちは自分が新しい教皇にふさわしいと思う枢機卿の名前を書いて投票します。ただし、教皇は激務をこなす必要があることなどから80歳を超えている枢機卿には選挙権がなく、今回は133人が選挙に臨む見通しです。
選挙は、バチカン市国にある「システィーナ礼拝堂」で行われます。ミケランジェロの「最後の審判」が描かれている場所としても有名な場所です。外部との接触は厳しく制限され、枢機卿たちは礼拝堂に閉じこもって、新しい教皇が決まるまで外部に出ることはできません。さらに、携帯やパソコン、新聞やテレビを通じて外部の情報に触れることも禁じられます。まるで外界から遮断された『密室』の中で新たなトップが選出されるのです。
新しい教皇はどうやって決まるの?
新しい教皇の選出には投票数の3分の2以上の賛成が必要で、得票者が出るまで繰り返されます。
カトリック中央協議会の公式サイトに掲載されている教皇選挙の規定によると、投票は初日午後に1回行われ、この投票で決まらなければ続く2日に、午前・午後2回ずつ行うことができます。
さらに、3日間の投票で決まらない場合も細かく規定されており、最大1日の祈りの期間をおいてから、同じ手順で選挙をし、7回の投票をしても決まらなければまた1日おいて7回行います。それでも決まらない場合、また1日おいて7回行われます。それでも決まらなければ、1日の祈り、考察、対話の期間をおいてから、前回の投票における上位2人の得票者について決選投票を行い、投票総数の3分の2以上の得票を得た人が選出されたこととなります。なお、この2人は決選投票には加わりません。
選挙は教皇が選出され、被選出者が教皇となることを同意したときに終了します。外部への第一報はシスティーナ礼拝堂の煙突から伝えられます。投票で決まらなかった場合は煙突から黒い煙が上がりますが、新しい教皇が選ばれると白い煙が上がることになっているのです。
3分の2以上の得票者が現れるまで繰り返される選挙期間は状況によって大きく異なり、1503年の選挙はわずか10時間以内に決まった一方、1268年には選出まで3年かかったというケースもありました。近年では、数日以内に選出されることが一般的になっています。