トランプ大統領が、ハリウッドを混乱させている。現地時間5月4日に突然、「アメリカ国外で撮影された映画に100%の関税を課す」とソーシャルメディアで宣言したせいだ。
【2004年撮影】トランプ大統領を一躍セレブの座に押し上げた『アプレンティス』に出演していた頃
翌日、ホワイトハウスのスポークスマンは、「最終決定ではない」「詳細はこれから」と述べたものの、動揺は収まらない。トランプは映画としか言っていないがテレビはどうなるのか、どこで線を引くのか、具体的にどうやるのかなど、不満、臆測、パニックの声が、あちこちから聞こえてくる。
一方で、メジャースタジオは沈黙を守ったまま。まだ何もわからないし、とりあえず状況を見ようというところなのだろう。
■自分をひどく扱ってきた不満
ハリウッドをパニックに陥らせたことに、トランプは大満足なのではないだろうか。自分をひどく扱ってきたやからが、我を失ったかのようにおろおろとしているのだから。
初めて大統領選に立候補し、共和党の代表となってからというもの、トランプはハリウッドで笑い者にされてきた。いざ当選して大統領になると、笑い者にとどまらず嫌われ者になり、ジョークのネタだけでなく、日々、辛辣な批判攻撃を受けるようになる。「トランプバッシング」はハリウッドにおいてお天気の話題と同じくらい日常的な、コミュニティをつなぐものにすらなったのだ。
それを笑い飛ばせるだけの度量を持たないトランプは、メリル・ストリープ、ジョージ・クルーニー、アレック・ボールドウィン、ジミー・キンメルなどに対して名指しで反撃。それがまたハリウッドの結託を強め、大統領選では毎回、寄付の金額でも、支持者の華やかさでも、民主党に圧倒的にしてやられた。
だが、そうした状況下でもトランプは、昨年秋の選挙で再選。最高の形でハリウッドを見返してやったわけだが、こじれた関係は変わらない。ハリウッドは今も今後もトランプを嫌い続けるだろう。だからトランプは、ハリウッドが憎い。