共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補に対して大法院(最高裁判所に相当)が有罪の判決を下したことを受け、共に民主党では常識外れの発言が相次いでいる。共に民主党は5日に曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁判所長官)に対し「李在明候補の公判期日を全て大統領選挙後に先送りせよ」と要求した。司法府固有の権限である裁判日程を自分たちに都合良く変えようとしているのだ。議員総会では「司法によるクーデターだ」として曺喜大・大法院長に対する「報復性弾劾」の声も上がった。「尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領と大法院はつながっている」という「陰謀論」を主張する声も飛び出している。国会の多数政党が司法に対し「フルスイングしてやる」と攻撃する様子を見て、多くの国民が不安を感じている。
1カ月前に尹前大統領が罷免された当時、その熱心な支持者たちも「弾劾無効」を主張した。裁判官8人全員一致の判決だったため、尹前大統領が任命した鄭亨植(チョン・ヒョンシク)裁判官や保守系の趙漢暢(チョ・ハンチャン)裁判官に特に裏切られた思いを抱いた人も多かった。一部では「流血革命」まで語られた。「弾劾の賛成派と反対派が街頭で衝突するのでは」と心配する声も相次いだ。
しかし国民の力は違った。党執行部は直ちに「残念だが、憲法裁判所の決定を謙虚に受け入れる」とした上で「与党としての役割を果たせなかったことに責任を痛感する」とのコメントを発表した。責任ある政党として憲法裁判所の判決を尊重するしかなく、また自分たちと意見が違う国民世論も意識せざるを得ないからだ。国民の力関係者は「われわれも本当に悔しい。少なくとも国民の顔色をうかがうふりだけでもするしかない」と述べた。
これとは対照的に共に民主党は大法院判決に対し「司法の決定を尊重する」と言った形だけの言葉もなかった。逆に当事者である李在明(イ・ジェミョン)大統領候補が「それは何でもない。一時的なハプニングだ」と語った。被告が裁判所の判決を無視したのだ。李在明候補は「国民の意向が最も重要だ」として支持層をあおっている。
共に民主党は1955年以来70年の歴史を常に誇っている。これまで大韓民国民主化に貢献した功績も決して小さくはない。しかし共に民主党の歴史に今のような無差別弾劾で行政を無力化し、裁判に承服せず司法をひざまずかせようとしたことはなかった。これら全てが「李在明の共に民主党」となったことで起こっているのだ。憲法機関を無視し、意見が異なる国民は全く意に介さない政党が、果たして国民の選択を受けられるか気になるところだ。
イ・スルビ記者