ドナルド・トランプ大統領が精錬銅に対する関税賦課の方針を転換したことで、銅相場は過去57年間で最大の下げ幅を記録しました。これは、高率関税が適用されれば価格が大幅に上昇するという市場の期待が打ち砕かれたためです。
銅価格、1968年以来の最大下落を記録
ウォールストリートジャーナル(WSJ)の報道によると、韓国時間31日午後3時時点で、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)の銅先物価格は1ポンド当たり4.424ドルとなり、前日終値から20.8%も下落しました。銅価格が1日で20%以上暴落したのは、1968年以来初めての事態です。
銅ケーブルの断面。トランプ政権の精錬銅関税政策と銅価格の変動
関税政策の詳細:何が対象で何が除外されたか
米国ホワイトハウスは30日(現地時間)、来月1日から銅パイプ、ワイヤ、チューブなどの半加工製品、および電線ケーブル、電気部品など銅使用比重が高い完成品の輸入時のみ50%の関税を賦課すると発表しました。一方で、純度の高い精錬銅、銅鉱石、銅精鉱など加工が不十分な形態の銅には関税を賦課しない方針を示しました。
さらに、韓国バッテリー業界が米国に輸出する陰極材と陽極材も関税対象から除外されることになりました。また、自動車関税を課す場合、銅関税は別途賦課しないとの方針も示されました。
市場の反応と過剰在庫の問題
今月初めの関税予告後、米国の銅価格とロンドン金属取引所(LME)の国際価格差は、当初の13%から31%にまで拡大していました。これは、米国内の企業が精錬銅に対する高率関税を予想し、先行して銅の輸入を増やしていたためです。関税が賦課されれば、米国内の銅価格がさらに上昇し、国際相場よりも高い価格で売却して差益を得られるという市場の期待が反映されていたと言えます。
ソシエテ・ジェネラルの債券・外国為替・商品リサーチ総括であるマイケル・ハーグ氏は、「市場価格は再び(国際価格と)均衡状態に戻るだろう」と述べました。アナリストらは、米国内に積み重なった過剰在庫量を40万~50万トンの間と推算しており、シティバンクはこれにより「今年の残りの期間、米国の銅輸入の需要が減少するだろう」と予測しています。
結論
今回のトランプ政権による精錬銅関税の撤回は、市場の過剰な期待を打ち消し、銅価格を大幅に下落させました。これにより、市場は国際価格との均衡を取り戻す方向へと動くと見られています。米国内に蓄積された銅の過剰在庫は、今後数ヶ月間の輸入需要を減少させる要因となるでしょう。
参考文献
- Wall Street Journal (WSJ)
- Societe Generale
- Citibank
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