トランプ米政権は8日、大規模災害に対応する連邦緊急事態管理局(FEMA)のキャメロン・ハミルトン局長代行を更迭した。米メディアが伝えた。トランプ大統領はFEMAを廃止し、災害対応を各州に委ねる方針を示している。
1月から局長代行を務めるハミルトン氏は前日の7日、FEMAの廃止は国民の利益にならないと議会で発言したばかり。トランプ政権が「異論」を即座に排除した形だ。
トランプ氏は2期目の就任直後の1月24日、2024年9~10月にハリケーンで大きな被害を受けた南部ノースカロライナ州の被災地を訪問。復旧の遅れを指摘し、「FEMAには非常に失望した」と批判。「FEMAを総点検し、抜本的に改革するための大統領令に署名する。廃止するかもしれない」と述べた。対応を州知事が担うことが望ましいとの考えも示した。
FEMAはカーター政権時代の1979年、大統領令によって各省庁の災害対策部門を統合する形で設置された。全米に地方事務所を持ち、災害時は州政府など地方自治体と連携して対応にあたる。石破茂首相が長年設置を訴えている「防災省(庁)」のモデルともされている。しかし、トランプ氏の発言に沿う形で、FEMAの上部組織である国土安全保障省のノーム長官も廃止する方針を示している。
ハミルトン氏は7日、FEMAの予算などが議題となった下院歳出委員会の小委員会に出席。民主党議員から、FEMAを廃止すべきだというトランプ氏やノーム氏の方針に同意するか聞かれ、「FEMAを廃止することが米国民の利益になるとは考えていない」と語った。ただし、自分は決定を下す立場にはなく、ホワイトハウスと議会が決める問題だとの認識を示していた。
米ニュースサイト「ポリティコ」によると、ハミルトン氏は8日午前に国土安全保障省に呼び出され、同省の幹部らから解任が言い渡されたという。【ワシントン西田進一郎】