20年間昏睡(こんすい)状態のままで過ごし、「眠れる王子」と呼ばれたサウジアラビアのアル・ワリード・ビン・ハリド・ビン・タラール・アル・サウード王子が、ついに35歳で亡くなった。父親のハリド・ビン・タラール・アル・サウード王子は、ソーシャルメディアに「アル・ワリードがきょう、世を去った。アラーが彼に慈悲を施されんことを」と書き込み、息子の死去のニュースを伝えた。
アル・ワリード王子は1990年4月に、ハリド・ビン・タラール王子の長男として生まれた。英国ロンドンの士官学校に留学していた2005年、交通事故で深刻な脳損傷を負い、意識が戻らなかった。米国やスペインの著名な医療陣まで駆け付けたが、快方に向かうことはなかった。
絶望的な状況でも王子が20年間、昏睡状態のまま過ごすことができたのは、父親のおかげだった。父親は、息子がちょっと動きを見せるたびにソーシャルメディアでそのことをシェアし、息子が目を覚ますという希望を失わなかった。生命維持装置を外すべきだという周囲の勧めにも「生と死はひとえに神の御手にかかっている」として拒絶し、病床を守った。
チェ・ヘスン記者