「日中友好の象徴」が不倫スキャンダルと学歴チート疑惑から大炎上 北京・日中友好病院騒動に垣間見える中国社会の不公平感


【画像】経歴に疑惑が持たれている不倫相手とされた董氏

そこから日本の読者が読み取るべき教訓とは何なのか。そして真の「日中友好」とは何なのかを考える。

以下の文章は、東京大学のある中国人訪問学者が執筆し、東京大学大学院の阿古智子教授が翻訳したものを編集した記事である。

「日中友好」の象徴で起きたスキャンダル

その後も、数々の日中技術交流事業を実施し、笹川医学奨学金などの仕組みも活用しながら、日中医療人材交流の重要な拠点となっている。さらに、日本全国から医師や看護師を集めて北京で指導にあたらせ、同時に中国の医療スタッフを日本に招き、6カ月から1年間の臨床研修を行ってきた。

この病院は過去40年間、中国の医療の近代化変革において重要な役割を果たしてきたと言える。現在の総病床数は1600床以上、中国有数の病院である。

多くの駐中国日本大使がこの病院を訪れている。直近では、2021年1月14日に垂秀夫大使(当時)が訪問し、2024年10月23日に金杉憲治大使が日中友好病院で開催された40周年記念式典に出席している。

この病院は中国でも特別な名誉を受けている。 2001年に「中央保健拠点病院」に指定され、中国共産党の高級幹部にも医療を提供できるようになった。

一党支配の国である中国では、最良の医療資源が中国共産党の高官に優先的に与えられる。中国の国家衛生健康委員会には「保健局」と呼ばれる部署があり、納税者のお金を使って、引退した幹部とその家族を含む中国共産党の高官に生涯にわたってサービスを提供している。

2001年、日中友好病院が中央医療拠点となったのは、この病院の医療レベルの高さを証明している。中国共産党の幹部が自ら使用するために選んだ医療機関は最高水準のものであることは間違いない。

しかし、2025年4月下旬から、この病院は「董氏事件」によって中国のネット世論の炎上の嵐に巻き込まれることになった。

この事件は単なる複数のスキャンダルにすぎなかったが、その後数日間にわたって事態は悪化し続け、5月1日には中国の衛生当局である国家衛生健康委員会が「調査チームを設置し、肖氏と董氏、および関連機関に対し調査を実施し、法令違反が発覚した場合は法規に従って厳正に対処する」との声明を公式に発表した。

つまり、世論の高まりが続いたことで、ついに中央レベルの担当部門も黙っていられなくなり、調査への介入を公表せざるを得なくなったのである。

この複数のスキャンダルは、私たちに現代中国社会を垣間見る貴重な機会を与えてくれる。

以下、この文章では、(1)このスキャンダルの実態、(2)なぜ世論が炎上し、情報統制が厳しい中国で、この一見自然発生的な世論の炎上が許されたのか、(3)日本の読者はこの問題を通して真実の中国をどのように理解すればよいのかについて、お伝えしたい。



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