「食の外交官」年400万円で目立つ欠員 公邸料理人、待遇改善へ任期も 外務省が新制度


■和食人気「料理人の争奪戦」

諸外国の首都や主要都市にある日本の大使館、総領事館では、公邸料理人が腕を振るって和食をはじめとする料理を提供し、賓客をもてなす。こうした料理は外交上、人脈づくりや情報収集に欠かせない重要な手段となっている。しかし近年はその人材確保が難しくなっている。

和食は、増加する訪日外国人観光客に人気が高く、飲食業界内では「料理人の争奪戦が繰り広げられている」(外務省幹部)。日本人の料理人は外国でも引く手あまたで、現地で破格の待遇で雇用されるケースが少なくない。

■安い報酬…十数人分が欠員に

加えて公邸料理人は従来、報酬が年間400万円程度と必ずしも高くなかった上、任期は大使や総領事の任期と同一だったため、日本に帰国後の再就職活動にも困難が伴っていた。

こうした理由から、公邸料理人は人材難が半ば常態化している。外務省によると、世界各地にある計234カ所日本の在外公館は本来、それぞれ少なくとも1人の公邸料理人を擁している必要があるが、現在は十数人分が欠員だという。

■「今やらないと手遅れになる」

こうした状況を改善するため、外務省は現行の制度を大幅な見直す。

具体的には従来、大使や総領事がポケットマネーで報酬の3分の1を支払っていた契約形態を在外公館との公的契約(委託契約)に改め、報酬を年間600万円以上に増額する。住居経費を支給し、従来のように大使や総領事と公邸で同居する以外に、賃貸住宅への居住を認め、配偶者が同行する際の経費も支給する。

新たに導入する任期は原則2年で、その後1年ごとに延長可能とする。

外務省には「今やらないと手遅れになる」(幹部)との危機感があり、新制度の導入を通じ、質の高い食の外交官を恒常的に確保したい考えだ。



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