韓国全土の裁判官の代表たちが、今月26日に臨時会議を開き、大法院(最高裁判所)が下した最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補の公職選挙法違反に対する無罪破棄・差し戻し判決を巡る問題について議論することを決めた。大法院が李在明候補の事件について有罪との趣旨で短期間に判決を下したのは政治的中立性を破る判断なのか、今回の判決に対する政界の攻撃は司法の独立性を侵害するものなのか、などを取り上げるという。裁判官代表会議とは、各級裁判所から選出された代表裁判官たちが集まり、司法行政や裁判官の独立性に関して意見を表明したり建議したりする会議体だ。
だが、おかしな点は一つや二つではない。会議で取り上げる具体的な案件はまだ決まっていないが、当初は「今回の会議そのものが『大法院の迅速裁判に対する遺憾表明』を案件として招集要請が行われた」と伝えられた。大法院の裁判進行が遅いことに対して遺憾の意を表明することはあっても、迅速に判決を下したことがなぜ遺憾表明の対象になるのだろうか。一般人の裁判は迅速であるべきだが、有力政治家の裁判は迅速に行ってはいけないのか。大法院が迅速に裁判をすれば政治的に中立ではなく、法律で1年以内に終わらせるようになっている裁判を2年6カ月も引き延ばせば政治的に中立なのか。全く話にならない論理と言わざるを得ない。
しかも、共に民主党が大法院を政治的に攻撃している状況で、司法府に対する外部からの脅しについて話し合おうというのではなく、逆に大法院を批判しようという会議が招集されるとは、裁判官会議ではなく特定の裁判官らによる「政治集会」ではないのか。これに対して一部の裁判官が共に民主党の司法府独立侵害案件を追加することを要求、双方で議論することにしたというのだ。
共に民主党は、李在明候補の公職選挙法違反を巡る裁判が大統領選挙後になったのにもかかわらず、司法府への攻撃を止めていない。「曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁判所長官)の大統領選挙介入疑惑を解明する。特別検事(特別検察官)法を発議する」として、14日には曺喜大・大法院長を国会に呼んで聴聞会を開くという。同党の役員たちは露骨に「辞任しろ」と要求している。このままでは司法の独立性は破壊されてしまう。
これと同時に、共に民主党は李在明候補にかけられている虚偽事実流布疑惑についても事実上無力化する法案を発議したし、同候補が大統領になったら裁判を中止する法律も作るという。無罪にする裁判だけができるように変えるとも言われている。このように、民主法治を明らかに破壊する行為に対して裁判官たちは一言も発せず、大法院の迅速裁判に遺憾の意を表明しようとするなんて、あきれて物が言えない。
裁判官会議の議長ら役員陣は進歩(革新)系の国際人権法研究会出身者が多いそうだ。そうだとしても、裁判官会議という名目なら、司法の独立性を自ら傷つける議論ではなく、司法の独立性を傷つけようとする勢力を糾弾する議論をすべきだ。それをするつもりがないなら、法服を脱いで入党するべきだろう。