〈腹切ってこいや!〉〈帰ってきたら、ロシア人をさらうぞ!〉──まるでヤクザ映画で飛び交うセリフのようだが、これは北海道札幌市にある建設会社「花井組」のLINEグループでのやりとりなのだという。花井組は現在、社長が従業員に暴行を加えたとされる動画が拡散され、批判が殺到している。
騒動を受けて、プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」は、花井組とのサポートシップパートナー契約を解除することを決定。また同社は、「さっぽろまちづくりスマイル企業」や「札幌市ワーク・ライフ・バランスplus企業」など、札幌市の認証を受けているが、同市広報部の公式X(旧Twitter)も〈事実の確認が取れ次第、各認証制度の規定等に沿って、認証取り消しの手続きを進めてまいります〉と発表した。
花井組は、地元で長い歴史を持つ有力企業だ。
「1939年に『土木請負業花井組』として創設され、現在の社長は3代目という歴史ある建設会社です。地域のインフラ工事を手掛けているほか、地域清掃などのボランティア活動にも力を入れており、地元メディアによく取り上げられています」(全国紙の社会部記者)
しかし、同社が発信するクリーンなイメージとその実情はかけ離れたものだったという。2021年頃に働いていたという元従業員の男性が明かす。
「残業代なしで夜通し働かされたり、とにかくひどい労働環境でした。休みの日でもグループLINEで社長に朝の挨拶をしないといけなかったり、『飲むぞ!』と急に呼び出しがあったり、プライベートの時間をほとんど持つことができませんでした。社長の車の洗車をやらされる人もいました。
自分はよく知らずに入社してしまったのですが、あとで知り合いに『あそこ(花井組)はヤクザみたいなものだから辞めたほうがいい』と言われました。給料は同業他社に比べて高いとは言えませんでしたが、社長は高級車に乗っていたり、趣味のゴルフ道具を大量に持っていたり、かなり羽振りがよさそうでした」
そんな労働環境でありながら、多くの社員が社長に心酔していたという。
「社長はよくしゃべるので、話を聞いているうちにまるで“洗脳”されたような状態になってしまう人もいるようです。社長に影響されて、彼のように体に入れ墨を彫る社員が多くいました」(前出・従業員の男性)
ネット上では、花井組と反社会的勢力の繋がりを疑う声もあるが、この元従業員の男性は、「自分が見た限り、社長自身がヤクザなわけではないと思う」と語る。