日本経済復活のためにもこれが必要だ…「外国人観光客からは儲けて、日本人には優しい価格」を実現する秘策


 大型連休も観光地は外国人で大賑わいだった。京都など外国人観光客に人気の観光地では、あまりの外国人の多さに日本人観光客が宿泊を避けるという傾向も見え始めている。日本政府観光局(JNTO)の推計によると、1月から3月までの訪日外国人は1053万人で、過去最速で1000万人を突破。昨年1年間の3687万人を上回り4000万人の大台に乗せそうな勢いだ。

【写真】2025年4月16日、京都駅に集まる外国人観光客たち

 訪日外国人4000万人というのは、2012年に立てられた、東京オリンピックが予定されていた2020年の目標だったが、コロナを越えて5年遅れで実現することになりそうだ。もちろん円安によって日本旅行が「割安」になっている面もあるが、日本食や日本文化などに惹かれて訪れる外国人が増えた空前の日本旅行ブームと言っていい。

 人気観光地ではもはやオーバーツーリズム、観光公害だという声も上がるが、一方で外国人観光客が日本に落とすお金は8兆円にのぼるとみられるだけに、景気低迷に悩む日本経済にとっては、もはや無くてはならない収入源になっている。外国人観光客に今以上のお金を落としてもらいながら、オーバーツーリズムを回避する方法はないものか、という声が日増しに高まっている。

■ホテルの値段は大幅に引き上げられている

 ひとつは、外国人が利用するものの価格を国際水準に引き上げることだ。過去に本欄でもホテル価格を一気に引き上げるべきだという主張を展開したが、観光地ばかりか、東京や大阪など都市部のホテルの客室料金は大幅に引き上げられ、決して「日本のホテルは安い」と言える状況ではなくなった。

 シンガポール在住で世界各地を旅している田村耕太郎・一橋大学ビジネススクール客員教授は、フェイスブックで繰り返しに日本のモノやサービスが「安すぎ」だと書き続けてきた。ところが、この4月の投稿では、「日本はもう安くない」と書いていた。日本の老舗ホテルもサービスはなかなかだが、「宿泊代ももはや老舗でも世界の物価高大都市圏と比して安くはない」という。外国人観光客が宿泊者の大半を占める中で、あえて日本人価格にこだわる必要は無くなったということだろう。

 もともとホテルは外資系が進出するなど、価格が国際相場に影響される傾向があった。それに日本のホテルも追随した格好だが、外国人にお金を落としてもらう、という意味では正しい戦略と言えるだろう。一方、その余波で、かつては1万円以下で泊まれた東京の狭いビジネスホテルが1部屋2万円以上といった価格になった。出張に出る日本人ビジネスマンは悲鳴を上げている。まあ、これも観光公害の一つとも言えるが、給料が中々上昇しない日本人にとってはたまらない。外国人からは儲けて、日本人には優しい価格というわけにはいかないのか。



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