【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ大統領は10日、米中両政府がスイスのジュネーブで開いた関税措置を巡る初の閣僚級協議について、「本日、中国と非常に良い会談を行った。多くの点について議論し、多くの合意に至った」と明らかにした。自身のSNSに投稿した。
ロイター通信によると、初日の協議は約8時間にわたり、現地時間10日夜(日本時間11日未明)に終了した。米国側からはベッセント米財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表、中国側からは経済政策を担当する何立峰(フォーリーフォン)副首相が出席した。協議は11日まで行われる見通しで、両大国が緊張緩和へ歩み寄れるかが焦点となっている。
トランプ氏は、「友好的かつ建設的な雰囲気の中で、両国関係のリセットと再構築に向けた交渉が行われた」と投稿。「米中双方の利益のために、中国が米国企業に門戸を開くことを期待している。大きな進歩だ!」と成果を強調した。
トランプ政権は、米国に流入する合成麻薬フェンタニルへの対策が不十分だとして、2月と3月に計20%の追加関税を中国に課した。4月には「相互関税」を発動し、中国への追加関税は累計で145%となった。中国も報復措置として米国に計125%の追加関税を課すなど、貿易摩擦が激化している。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは9日、中国政府でフェンタニル対策を担当している王小洪(ワンシャオホン)公安相を派遣すると報じており、協議の中でフェンタニルも議題にあがっているとみられる。