ロシアは9日、ナチス・ドイツに勝利したことを祝う記念日を迎え、戦後80年の節目となる今年は習近平国家主席ら20カ国以上の首脳が集まりました。ウクライナとの戦争に投入された北朝鮮軍の幹部とも抱擁を交わし、演説で侵攻を正当化した一方で、欧米に対する直接的な批判はしませんでした。
■戦勝記念式典“中ロ蜜月”演出
式典開始の1時間前、招待された海外の首脳たちが続々と会場に到着。式典のホストであるプーチン大統領に1人1人があいさつをして、その場を後にします。最後に姿を現したのは、主賓として招かれた中国の習近平国家主席。握手の後は両者一緒に部屋を出て、プーチン大統領自ら式典会場にエスコートします。これが主賓の待遇です。
おびただしい数の兵士たちで埋め尽くされた赤の広場。一方で街中からは市民の姿が消え、厳戒体制が敷かれていました。
「予告の8時半を過ぎました。携帯電話ではインターネットが全くつながりません。電波、通信はあるように表示されていますが、実際には全く反応しません」
過去の式典でも通信障害はありましたが、政府がわざわざ措置を予告して行うのは初めてのこと。テロやドローン攻撃を警戒していることの現れです。
■プーチン氏 欧米名指し批判せず
ロシア プーチン大統領
「大祖国戦争勝利80周年をお祝い申し上げます」
プーチン大統領は約10分にわたって演説を行いました。去年は「西側批判」を展開していましたが、今回はそうした文言は一切ありませんでした。ウクライナ侵攻に言及したのはこの部分だけです。
ロシア プーチン大統領
「ロシアはナチズム・反ロ・反ユダヤに対する不滅の壁であり続け、これらの攻撃的・破壊的な思想の支持者による暴挙と戦う。真実と正義は我々にある。国全体が特別軍事作戦の参加者を支持している。我々は軍事・平和活動で戦略的目標を達成するために、常に団結を基盤としている」
主張したのは自己弁護のみでした。
そして始まったパレード。去年と明らかに違うのは登場する戦車の数です。去年は第2次世界大戦で活躍した、骨董品の戦車1両しかありませんでしたが、今年は最新型も含め、ウクライナ侵攻に使われている戦車が3種類登場しました。「パレードにだせないほどひっ迫している」と言われた去年とは状況が変わっているのか、それとも単に今年が80周年だからなのかは分かりません。
20カ国以上の首脳が招待された今回の式典。BRICS主要国であるブラジルの出席に加え、EU加盟国であるスロバキアに、EU加盟申請中であるセルビアなど、異例の顔ぶれとなっています。